企業法

企業法入門その6  (2020年10月20日・企業法)

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論文式試験まで 303 日

創立総会・設立の瑕疵

創立総会

  • 創立総会とは:株式引受人全員により構成される設立中の会社の最高意思決定機関であり、会社成立後の株主総会に当たる

設立の瑕疵

  • 3つに分類される
  1. 設立無効
  2. 会社不成立
  3. 会社不存在

設立無効の訴え

  • 趣旨:民法の一般原則によれば、その設立は無効となるはずである。ただ、設立が有効であるという前提で事業が開始され、会社の内外に置いて多数の法律関係が構築されるため。法的安定性の確保と法律関係画一的確定の要請に答えるために、設立無効の訴えの制度がある。
  • 性質:形成訴訟
  • 可及的期限:無制限に認めてしまうと、法的安定性を害する。そのため、設立の無効の主張を可及的に制限している
  • 主張期間の制限:会社の成立の日から2年以内に限り、主張することができる
  • 主張者の制限:設立する株式会社の株主
  • 主張方法の制限:設立無効の訴えによって主張しなければならない
  • 無効判決の効力:対世的効力。将来

資金調達

借入による資金調達

  • 金融機関等からの借入れは、業務執行の一環
  • ただし、多額の借財に該当する場合は、取締役会の決議が必要

募集株式の発行の総論

  • 募集株式の発行とは:会社成立後に発行する株式を引き受けるものを募集すること
  • 自己株式処分するときもこれに当たる
  • 募集株式の発行等の方法
    • 株主割当ての方法
    • 株主割当て以外の方法(第三者割当て公募

会社の資金調達の利益と既存株主の利益の調整

  • 会社支配的不利益:株主割当以外の方法では、持ち株比率低下による会社支配的不利益を被る
  • 経済的不利益:株主割当以外の方法では、発行直前の株価によりも低い金額で募集株式の発行等がなされた場合には、既存株主は、株価下落による経済的不利益を被る
  • 会社の資金調達の利益と既存株主の利益の調整
    • 株主割当ての方法による回避可能
    • ただ、会社の機動的な資金調達を確保するために、それ以外は手続を規制しながら認めている

授権資本制度

  • 性質:募集株式の発行等は組織法上の行為。ただ、公開会社においては、取引法上の行為に準ずるものとして扱う
  • 授権資本制度とは:発行可能株式総数の範囲内(定款による授権)で、取締役会決議により適宜株式を発行することを認める制度
  • 授権限度:
    • 設立時発行株式の総数の下限:公開会社において、設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数4分の1を下ることができない
    • 発行可能株式総数の増加の上限:公開会社定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合、発行済株式総数4倍を超えることはできない。
  • 非公開会社の場合:株主総会特別決議によって募集発行の決定を行うので、規定は適用されない

募集株式の発行等の決定機関

  • 公開会社・非公開会社それぞれの特質に合わせる形で異なっている
  • 株主割当て以外の方法による場合
    • 公開会社:取締役会決議による。(趣旨:資金調達機動性が重視される。市場から株式を買うことで持株比率を回復することができる。会社の資金調達利益を優先)
    • 非公開会社:株主総会特別決議による。(趣旨:株主間の緊密な信頼関係を維持する必要がある。市場から株式を調達することが困難。既存株主を強く保護。)
  • 株主割当ての方法による場合
    • 公開会社:取締役会決議による。(趣旨:資金調達機動性が重視される。)
    • 非公開会社:株主総会特別決議による。(趣旨:株主間の緊密な信頼関係を維持する必要がある。持ち株比率の低下による会社支配的不利益を受けるおそれがある。)

会計帳簿

計算書類等

  • 計算書類:貸借対照表損益計算書株主資本等変動計算書個別注記表
  • 計算書類等の作成
    • 会社成立時:貸借対照表
    • 各事業年度:計算書類および事業報告ならびにこれらの附属明細書
    • 事業報告は監査役監査のみを受け、会計監査人監査対象とはならない

資本金等の減少

  • 株主総会特別決議および債権者異議手続が必要となる

剰余金の配当

  • 株主に対する財産分配の限度額(分配可能額)が法律上定められている
  • 剰余金の配当の決定機関:株主総会普通決議

持分会社

種類

  • 合名会社:直接無限責任社員
  • 合資会社:直接無限責任社員直接有限責任社員
  • 合同会社:間接有限責任社員

特徴

  • 定款自治が広く認められる
  • 所有と経営が制度的に一致
  • 重要な事項は原則として社員全員の同意で決定する
  • 持分の譲渡は原則として他の社員全員の承諾が必要である(趣旨:持分会社の社員間には人的信頼関係が存在し、その個性が重視される)
  • 定款の変更:総社員同意が必要

組織再編行為

組織再編行為の種類

  • 合併:2つ以上の会社が契約によって1つの会社になること。吸収合併と新設合併がある。
  • 会社分割:株式会社または合同会社が事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割後新たに設立する会社または既存の他の会社に承継させること。吸収分割と新設分割(共同新設分割)がある。
  • 株式交換・株式移転:株式交換と株式移転は、ともに、既存の株式会社を完全子会社とする完全親子会社関係を創設することを目的とする会社の行為
  • 組織変更:株式会社が持分会社に変わること、または、持分会社が株式会社に変わること

吸収型再編と新設型再編

  • 吸収型再編:吸収合併吸収分割株式交換
    • 対価:制限なし
    • 効力発生時期:契約で定めた効力発生日
  • 新設型再編:新設合併新設分割株式移転
    • 対価:設立会社の株式または持分を必ず対価に含めなければならない。株式持分社債新株予約権および新株予約権付社債以外の財産を対価とすることも認められない。(趣旨:設立会社の社員が一人もいなくなってしまうため)
    • 効力発生時期:設立会社の成立の日

合併

  • 合併当事会社の種類:会社の種類を問わず自由
  • 合併の効果:消滅会社が解散清算手続は不要。存続会社または設立会社が消滅会社の権利及び義務を包括的に継承する。
  • 対価
    • 吸収合併の場合:吸収型再編に分類され、対価の柔軟化が認められている
    • 新設合併の場合:新設型再編に分類され、対価の柔軟化が認められていない
  • 三角合併:外国の会社が合併するときに使われる手法

会社分割

  • 会社分割当事会社の種類
    • 分割会社:株式会社または合同会社のみ
    • 承継会社・設立会社:会社の種類を問わない
  • 会社分割の効果:分割会社は解散し、消滅することはない。
  • 対価:分割会社に対して、分割対価を交付(物的分割⇔人的分割)
    • 吸収分割の場合:吸収型再編に分類され、対価の柔軟化が認められている
    • 新設分割の場合:新設型再編に分類され、対価の柔軟化が認められていない

株式交換・株式移転

  • 株式交換・株式移転当事会社の種類
    • 完全親会社:株式交換は、株式会社または合同会社。株式移転は、株式会社のみ。
    • 完全子会社:株式会社のみ
  • 株式交換・株式移転の効果:完全親子会社関係が創設される
  • 対価:
    • 株式交換:吸収型再編に分類され、対価の柔軟化が認められている
    • 株式移転:新設型再編に分類され、対価の柔軟化が認められていない

略式組織再編行為・簡易組織再編行為

  • 略式組織再編行為:契約の相手方が、特別支配会社である場合
    • 趣旨:承認決議の成立が確実視される
    • 特別支配会社とは:ある株式会社の総株主の議決権の10分の9以上を他の会社が有している場合
    • 注意:特別支配会社が消滅会社となる吸収合併も存在する
  • 簡易組織再編行為:契約の相手方に承継させる資産の額が、当該会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1を超えない場合、または、契約の相手方に交付する対価の額が、当該会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1を超えない場合。
  • 認められる場合
    • 吸収型再編:略式組織再編行為はすべてで認められる。簡易組織再編行為は、吸収合併存続株式会社、吸収分割承継株式会社、吸収分割株式会社、株式交換完全親会株式会社

今日やったこと

  • 企業法の入門論点の続き
  • 財務会計論(計算)の練習
  • 財務理論の概念フレームワークの論点
  • 管理会計論の単純総合原価計算の論点

明日やること

  • 監査論の入門論点
  • 財務会計論(計算)の答案練習
  • 財務理論のまとめ
  • 企業法入門の復習