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目次
取締役の義務と報酬
善管注意義務と忠実義務
- 取締役は、善管注意義務を負う。社会通念上、取締役たる地位にある者に通常要求される程度の注意をもってその職務を行うこと。
 - 忠実義務:株式会社のために忠実にその職務を行わなければならない
 - 株式会社と取締役の利益衝突
- 競業忌避義務
 - 利益相反取引の制限
 - 取締役の報酬の規定
 
 
競業忌避義務
- 自己または第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)において、その承認を受けなければならない。
 - 取締役会設置会社においては、取引後、遅滞なく、重要な事実を取締役会に報告しなければならない
 - 趣旨:株式会社の利益の保護を図る
 
利益相反取引の制限
- 自己または第三者のために株式会社と取引をしようとするとき(直接取引)、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)において、その承認を受けなければならない。
 - 取締役会設置会社においては、取引後、遅滞なく、重要な事実を取締役会に報告しなければならない
 - 趣旨:株式会社の利益の保護を図る
 
取締役の報酬等
- 報酬等とは:職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益
 - 定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。(普通決議)
 - 趣旨:本来は業務執行機関の権限に属するはずだが、お手盛り防止のため株主総会の決議によって定める。
 
監査役
総論
- 監査役とは:取締役(会計参与設置会社では会計参与を含む)の職務の執行を監査する
 - 趣旨:株式会社の機関として独立した立場から取締役の職務の執行を監査させることで、取締役の職務執行の適法性を確保する
 - 監査役会設置義務:公開大会社は、監査役会を置かなければならない
 - 選任及び解任
- 資格制限:公開会社はできない。非公開会社はできる。
 - 兼任禁止:株式会社またはその子会社の取締役、支配人その他の使用人を兼ねることができない(自己監査の防止と独立性の確保)
 - 選任:取締役と同様(役員は全部同じ)
 - 解任:いつでも、株主総会の決議によって解任できる。(特別決議)
 
 - 社外監査役:その就任の前10年間当該株式会社またはその子会社の取締役であったことがないこと。
 
権限
- 取締役(会計参与設置会社では会計参与を含む)の職務の執行を監査する
 - 取締役の職務全般に及ぶ。(会計監査権を含めた業務監査権)
 
株式会社と監査役の関係
- 取締役との共通点:善管注意義務を負う
 - 取締役との相違点:業務執行権限がないため、競業忌避義務や利益相反取引の制限は設けられていない。忠実義務もなし。
 
監査役会総論
- 監査役会とは:すべての監査役で組織される会議体であり、監査報告の作成、常勤の監査役の選定及び解職、監査の方針等の決定を職務とする株式会社の機関
 - 構成:監査役は3人以上、半数以上は社外取締役
 
監査役会の決議
- 監査役の過半数をもって行う(頭数多数決、定足数なし)
 
会計参与
総論
- 会計参与とは:取締役と共同して、計算書類およびその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類を作成する株式会社の機関
 - 趣旨:非大会社における計算書類の適正化を図る趣旨で導入されたもの
 - 専門資格の必要性:公認会計士もしくは監査法人、または、税理士もしくは税理士法人
 - 構成:会計参与は1人以上
 - 選任及び解任
- 資格制限:公開会社はできない。非公開会社はできる。
 - 選任:取締役と同様(役員は全部同じ)
 - 解任:いつでも、株主総会の決議によって解任できる。(普通決議)
 
 
職務
- 会計参与報告を作成しなければならない
 
株式会社と会計参与の関係
- 監査役と同様
 - 取締役との共通点:善管注意義務を負う
 - 取締役との相違点:業務執行権限がないため、競業忌避義務や利益相反取引の制限は設けられていない。忠実義務もなし。
 
会計監査人
総論
- 会計監査人とは:株式会社の計算書類およびその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類を監査し、会計監査報告を作成することを職務とする者
 - 趣旨:会社の計算書類等の適正性を確保すること
 - 会計監査人設置義務:
- 監査等委員会設置会社および指名委員会設置会社は会計監査人を置かなければならない
 - 大会社は会計監査人を置かなければならない
 
 - 専門資格の必要性:公認会計士もしくは監査法人
 - 構成:会計監査人は1人以上
 - 選任及び解任
- 資格制限:公開会社はできない。非公開会社はできる。
 - 選任:株主総会の普通決議。役員と違って定款によって定足数の要件を完全に排除するとができる。
 - 解任:いつでも、株主総会の決議によって解任できる。(普通決議、定足数の要件を完全に排除できる)
 
 - 社外監査役:その就任の前10年間当該株式会社またはその子会社の取締役であったことがないこと。
 
職務
- 会計監査報告を作成しなければならない
 
株式会社と会計監査人の関係
- 監査役、会計参与と同様
 - 取締役との共通点:善管注意義務を負う
 - 取締役との相違点:業務執行権限がないため、競業避止義務や利益相反取引の制限は設けられていない。忠実義務もなし。
 
指名委員会等設置会社
総論
- 定義:指名委員会、監査委員会、報酬委員会を置く
 - 趣旨:迅速な業務執行の決定を可能にするとともに、業務執行の監督機能を強化する
 - 義務:取締役会を置かなければならない。監査役を置いてはならない。監査等委員会を置いてはならない。
 
委員会総論
- 構成:委員3人以上、過半数は社外取締役
- 社外取締役:業務執行取締役等でなく、就任の前10年間当該株式会社またはその子会社の取締役であったことがないこと
 
 - 選定:取締役の中から、取締役会の決議によって選定する
 - 解職:いつでも、取締役会の決議によって解職することができる
 - 取締役会と各委員会との関係:内部機関
 
指名委員会
- 基本的権限:取締役の選任および解任に関する議案の内容を決定する
 - 趣旨:業務執行に対する監督機能の強化
 - 「議案の内容」の決定:取締役の選任および解任権限は有していない。株主総会が決める
 - 指名委員会等設置会社以外の取締役会設置会社との比較:以外は、議案は取締役会が決定する
 
監査委員会
- 基本的権限:執行役等の職務執行の監査および監査報告の作成
 - 兼任禁止:指名委員会等設置会社もしくはその子会社の執行役もしくは業務執行取締役または指名委員会等設置会社の子会社会計参与もしくは支配人その他の使用人を兼ねることができない。(監査役の兼任禁止の趣旨と同様、自己監査の防止と独立性の確保)
 - 指名委員会および報酬委員会の委員:兼任禁止の規定は設けられていない
 
報酬委員会
- 基本的権限:執行役等の個人別の報酬等の内容を決定
 - 趣旨:お手盛りの防止。業務執行に対する監督機能を執行役等の報酬等を通じて強化すること
 - 指名委員会等設置会社以外の会社との比較:指名委員会等設置会社では、取締役の報酬等が株主総会の議案になることもない
 
執行役
- 委任された事項についての業務執行の決定、および、指名委員会設置会社の業務の執行
 - 定款による資格制限:公開会社はできない。非公開会社はできる。
 - 取締役との兼任:執行役は、取締役を兼ねることができる(認めないと人材確保が困難になってしまうから)
 - 選任及び解任:取締役会の決議によって行う
 - 指名委員会等設置会社と執行役の関係:委任に関する規定に従う。善管注意義務を負う
 - 義務:忠実義務、競業避止義務、利益相反取引の制限(取締役の場合と同様の規制)
 - 代表執行役:
- 選定:執行役の中から代表執行役を選定しなければならない。
 - 解職:取締役会の決議によって解職にすることができる
 
 - 取締役の権限:業務を執行することができない。
 
指名委員会等設置会社の取締役会
- 職務:指名委員会等設置会社の業務執行の決定、および、執行役等の職務の執行の監督。これらの職務を、取締役会は、取締役に委任することができない。
 - 業務執行の決定:経営の基本方針は、取締役会が決定しなければならず、執行役に委任するこもできない
 - 執行役への委任が認められていないものがある。(重要な財産の処分および譲り受け、多額の借財は執行役に委任することができる)
 
監査等委員会設置会社
総論
- 定義:監査等委員会を置く株式会社
 - 趣旨:社外取締役の普及を図る
 - 義務:取締役会を置かなければならない。監査役を置いてはならない。
 - 選任:株主総会の普通決議によって選任。監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別しなければならない。
 - 解任:株主総会の特別決議により行う。趣旨は、地位の強化
 
監査等委員会
- 構成:3人以上、過半数は社外取締役でなければならない。
 - 権限:取締役の職務執行の監査および監査報告の作成
 - 兼任禁止:監査等委員会設置会社もしくはその子会社の業務執行取締役を兼ねることができない。(自己監査の防止と独立性の確保)
 
監査等委員会設置会社の取締役会
- 職務:監査等委員会設置会社の業務執行の決定、取締役の職務執行の監督、代表取締役の選定および解職を行う
- 業務執行の決定:経営の基本方針を決定しなければならない
 - 代表取締役の選定:監査等委員会である取締役を除く取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
 
 - 重要な業務執行の決定の委任禁止:重要な財産の処分および譲り受け、多額の借財は委任できない
 - 重要な業務執行の決定の委任:取締役の過半数が社外取締役である場合、または、定款の定めがある場合は、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができる。(指名委員会等設置会社と同じ範囲)
 
予想される問題
- 監査役
 - 会計参与
 - 会計監査人
 - 指名委員会等設置会社
 - 監査等委員会設置会社
 
今日やったこと
- 財務会計論(計算)のリース会計の練習
 - 管理会計論の標準原価計算の練習
 - 企業法の入門論点
 
