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目次
自己株式の取得
総論
- 取得規制:「手続規制」と「財源規制」がある
- 自己株式取得の弊害
- 資本維持の原則に反する:実質的には株主への払い戻しと同様の結果となり、会社債権者を害する可能性がある→財源規則が必要
- 株主平等原則に反する:株式会社が一部の株主からのみ自己株式を取得することは、その取得方法や対価によっては特定の株主を優遇することとなる→手続規制が必要
- 会社支配の不公正を招く:経営者が間接的に会社支配を強化することができ、会社支配の不公正を招く→自己株式については議決権を有しない
- 株主取引の公正を害する:不当な相場操縦に用いられるおそれがある。内部者取引(インサイダー取引)が行われる可能性がある
株券・株主名簿
株券
- 株券とは:株式を表章する有価証券
- 株券不発行の原則:株券の発行は定款で定めることができる。(株券の不発行を原則とする)
- 上場会社はすべて株券不発行会社
株主名簿
- 株主名簿とは:株主に関する事項を記載し、現在の株主を明らかにするために作成される帳簿
- 趣旨:会社の事務処理の便宜、株主の利益を図る
- 名義書換制度:株主名簿を自己名義に書き換えてもらうこと
- 名義書換の効力:
- 確定的効力:株主名簿の名義書換を受けない限り、株式会社に対して株主であることを主張できないこと(趣旨:会社の事務処理の便宜)
株式譲渡の方法と対抗要件
- 株券発行会社でない株式会社(株券不発行会社)
- 当事者の意思表示のみによって株式を譲渡できる
- 対抗要件:株主名簿の名義書換が株式会社および第三者に対する対抗要件
- 株券発行会社
- 当事者の意思表示のみならず当該株式に係る株式を交付しなければならない
- 株式会社に対する対抗要件:株主名簿の名義書換
- 第三者に対する対抗要件:株券の占有
基準日制度
- 基準日株主をその権利行使することができる者と定めることができる
- 趣旨:会社の事務処理の便宜
株式の消却・併合・分割・無償割当て、単元株制度
株式の大きさと長所・短所
株主管理コスト | 株式の流通性 | |
---|---|---|
出資単位が大きい | 抑えることができる | 低下する |
出資単位が小さい | 大きくなる | 高まる |
消却・併合・分割・無償割当て
- 消却:自己株式を絶対的に消滅させること
- 効果:資本金の額は減少しない、発行株式総数は減少する
- 手続:取締役会の決議
- 併合:複数の株式を合わせて、それよりも少数の株式とすること
- 効果:資本金の額は変動しない、発行株式総数は減少する
- 手続:株主総会の特別決議(株式の併合を必要とする理由を説明しなければならない)
- 趣旨:従前の株式単位で株式を処分することができない。1株に満たない端数が生じ、株主の地位が失われる。株主に重大な影響を及ぼす
- 分割:発行済の株式を細分化して、従来よりも多数の株式とすること
- 効果:資本金の額は変動しない、発行株式総数は増加する
- 手続:株主総会の普通決議(取締役会設置会社では取締役会の決議)
- 趣旨:基本的には株主に不利益はない
- 株式無償割当て:新たに払込みをさせないで、当該会社の株式を無償で割り当てること
- 効果:資本金の額は変動しない、発行株式総数は増加する
- 手続:株主総会の普通決議(取締役会設置会社では取締役会の決議)。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りではない
単元株制度
- 意義:定款により、1単元の株式につき株主総会または種類株主総会において一個の議決権の行使を認めるが、単元未満株主には議決権を認めないこととする制度
- 趣旨:株式の流動性と株主管理コストの節減との調整
- 定款変更手続(採用・単元株式数の増加):株主総会の特別決議(趣旨:議決権を失う可能性が生じ、株主に重大な不利益が発生するおそれがある)
会社の設立
会社の設立の流れ
- 「実態形成手続」と「法人格付与」という2つのステップ
- 実態形成手続:社団の実体を形成すること
- 基本原則の決定
- 社員の確定
- 会社財産の確定
- 機関の具備
- 法人格付与:設立登記による
- 商業登記の趣旨:会社の事業上の機密を害しない範囲で、会社に関する取引上重要な事項を公示させることによって、取引の相手方である一般公衆の保護を図るとともに、会社の信用を確保することができる
設立手続
- 発起設立:設立時発行株式の全部を発起人が引き受ける
- 募集設立:設立時発行株引きの一部を発起人が引受け、残部については他から引受人を募集する
定款
- 定款とは:根本原則
- 原始定款:会社設立時に作成された最初の定款
- 定款の効力:自治規範
- 定款の作成:発起人は定款を作成しなければならない
- 公証人の認証:定款は、公証人の認証を受けなければその効力を生じない
- 定款の記載事項:絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項
- 絶対的記載事項:定款に必ず記載しなければならず、その記載または記録を欠くときは、定款全体が無効となる事項
- 相対的記載事項:これを欠いても定款全体の効力に影響はないが、記載または記録を欠くときはその効力が認められない事項
- 任意的記載事項:その事項や定款自体の効力に影響を与えない事項
- 資本金の額:定款に記載する必要はないが、絶対的登記事項である
変態設立事項
- 意義:相対的記載事項である。
- 現物出資、財産引受け、発起人の報酬その他の特別利益、設立費用の4種類
- 趣旨:会社の財産的基礎を害するおそれがある
- 会社法上の規制:定款の相対的記載事項、原則として裁判所選任の検査役の調査を要する
- 現物出資:金銭以外の財産をもってする出資
- 資格:発起人のみ
- 趣旨:財産の価額評価が必要であり、過大に評価すると、出資者に対して不当に多くの株式を与えることになり、会社の財産的基礎を害し、株式引受人間でも不平等が生じる
- 財産引受け:発起人が株式会社のために、会社の成立を条件として、特定の者から一定の財産を譲り受ける契約
- 扱い:通常の売買契約
- 規制の趣旨:会社の財産的基礎を害する。現物出資を潜脱する方法になる。
- 設立費用:会社の設立のために必要な費用
- 規制の趣旨:発起人の無制限な支出や過大な見積もりを認め、その費用をすべて成立後の会社負担とすると、会社の財産的基礎を害するおそれ
発起人による設立時発行株式の引受け
- 発起設立の場合:各発起人は、全部の引受けをし、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない
- 募集設立の場合:各発起人は、一部の引受をし、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない
出資の履行の確保
- 発起人:金銭の全額を払い込み、現物出資財産の全部を給付することを要する
- 趣旨:会社債権者の保護
- 出資の種類:財産出資に限られる
設立の登記
- 会社設立のための最後の手続
- 設立登記がなされると、会社が成立し、法人格が付与される。株式引受人は株主となり、設立時役員等は役員等となる。
今日やったこと
- 企業法の入門論点の続き
- 財務会計論(計算)の練習
- 財務理論のまとめ
明日やること
- 企業法の入門論点の続き
- 財務会計論(計算)の練習
- 財務理論のまとめ
- 管理会計論の練習問題