目次
全体の流れ
- 第1段階:各種所得の金額を算定→源泉徴収(源泉分離・申告不要)、は先にバイバイ
- 第2段階:損益通算→(不事山譲)+(上場株式等:利子配当と譲渡所得)
- 第2段階:損失の繰越控除等(総合課税+退職所得+山林所得のみ)
- 第2段階:課税標準額の算定→所得控除算定に使用
- 第3段階:所得控除(人的控除・物的控除)
- 第3段階:課税所得金額の算定(ここで千円未満切捨)
- 課税所得金額等を算定(課税所得金額の合計から課税山林・課税退職を除いた額)→配当控除算定に使用
- 第4段階:課税所得金額から算出税額の計算
- 第4段階:課税所得金額等を使用して税額控除(配当控除)の計算→このあとに復興特別所得税額を計算
- 第4段階:源泉徴収税額の計算
- 第4段階:申告納税額の計算(ここで百円未満切捨)=算出税額ー税額控除(配当控除)+復興特別所得税額ー源泉徴収税額
- 第4段階:第3期納付税額の計算=申告納税額ー予定納税額
各種所得の金額の算定
給与所得
- 給与所得=収入金額ー給与所得控除額
- 非課税となるもの
- 通勤手当:1月あたり15万円まで(15万円を超える分は収入金額に加算)
- 出張旅費等
- 接待交際費等:業務のために使用している場合にかぎる。(渡切交際費は全額課税)
- ストック・オプション
- 税制非適格:権利行使時に給与所得、譲渡時に譲渡所得
- 税制適格:譲渡時に全部譲渡所得
- 特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック):制限解除時に給与所得、譲渡時に譲渡所得
- 特定支出控除
- 特定支出控除額=特定支出額ー給与所得控除額×50%
- 特定支出の範囲:資格取得費、勤務費用経費(最大65万円)、15万円を超える部分の通勤手当
退職所得
- 一時金に限定(年金は雑所得)
- 計算方法:退職所得=(収入金額ー退職所得控除額)×1/2
- 特定役員:役員等としての勤続年数が5年以下→1/2課税を行わない
- 特定役員とは:役員等としての勤続年数が5年以下
- 特定役員の場合は、下書きを作成する必要がある
不動産所得
不動産所得基礎
- 不動産所得とは:不動産等の貸付けによる所得
- 不動産の譲渡による所得は譲渡所得
- 計算方法:不動産所得=総収入金額ー必要経費ー青色申告特別控除額
- 事業として行われているかの判定基準:貸間・アパート等は10室以上、独立家屋は5棟以上
- 青色申告特別控除の対象
- 事業的規模の場合:55万円(電子申告者の場合は65万円)
- 事業的規模以外の場合:10万円
収入計上時期
- 原則:支払日基準(実際に支払われていなくても、契約上の支払日で計上)
- 特例:期間対応基準(発生主義)→前受・未収等の経理を行っている場合
- 礼金、権利金、名義書換料、更新料等→総収入金額に算入
- 敷金、保証金等→返還しないことが明らかな部分だけ総収入金額に算入
必要経費
- 借入金利子
- 借入~開業:取得価額に算入
- 開業~使用開始:取得価額と経費どちらでもよい
- 使用開始~返済:経費にサンユウ
- 立退料・取壊費用等
- 取得に際して発生したもの:取得価額に算入
- 譲渡に際して発生したもの:譲渡費用
- それ以外:不動産所得の必要経費
- 減価償却:強制償却、定額法
- 資産損失
- 資産損失の額=直前の簿価ー直後の時価ー廃材価額ー保険金等
- 注意点:保険金等の金額は必要経費の控除項目(not総収入金額の加算項目)
- 事業的規模の場合:全額損金算入(マイナスになれる、損益通算の対象になる)
- 非事業的規模の場合:マイナスになれない
- 回収不能(貸倒損失)
- 事業的規模:回収不能となった年分の必要経費に算入(not総収入金額の控除)
- 非事業的規模:収入金額を計上した年に遡り、収入金額をなかったものとする(not必要経費の加算)
事業所得
事業所得基礎
- 事業所得とは:自己の計算と危険負担をもって営利目的に独立的継続的行為で行う経済活動
- 事業的規模でないものは雑所得となる
- 計算方法:事業所得=総収入金額ー必要経費ー青色申告特別控除額
- 特例適用可能
総収入金額
- 棚卸資産の自家消費・贈与:総収入金額=max[仕入価額、販売価額×70%]
- 棚卸資産の定額譲渡
- 定額譲渡とは:[譲渡の対価<通常の販売価額の70%]のとき
- 総収入金額=通常の販売価額×70%ー対価の額
- 注意点:自家消費等と異なり、仕入価額との比較はしない
必要経費
- 原則:費用収益対応の原則
- 売上原価:実施棚卸高
- 低価法:青色申告者ではければ選定できない
- 法定評価方法:最終仕入原価法(法人税法と同じ)
- 減価償却:強制償却、定額法
- 少額減価償却資産:取得価額10万円未満のものは全額必要経費に算入可能(法人税法と同じ)
- 青色申告者:取得価額30万円未満は300万円に達するまで全額必要経費に算入可能(法人税法における中小法人と同じ)
- 一括償却資産:取得価額20万円未満のものは3年で償却可能(法人税法と同じ)
- 家事上の経費及び家事関連費:業務の遂行上必要であることが明らかな部分の金額のみ必要経費算入
- 資産損失(棚卸資産)
- 処分価額をもって取得原価とするので、損失額は売上原価に自動的に含まれ、必要経費に算入される
- 保険金:総収入金額に含める(不動産所得の資産損失、じぎょうしょとくにおける固定資産の資産損失との違い)
- 資産損失(固定資産):
- 考え方:不動産所得の資産損失(事業的規模の場合)と同じ
- 資産損失の額=直前の簿価ー直後の時価ー廃材価額ー保険金等
- 注意点:保険金等の金額は必要経費の控除項目(not総収入金額の加算項目)
- 事業所得はそもそも事業的規模であることが前提なので、全額損金算入(マイナスになれる、損益通算の対象になる)
- 災害関連費用等:必要経費に算入(資産損失の額には含めず、独立して必要経費となる)
- 回収不能(貸倒損失)
- 考え方:不動産所得の回収不能(事業的規模の場合)と同じ
親族に支払う対価
- 考え方:同一の人物だと捉える
- 青色申告者の特例
- min[支給した給与の額、労働の対価としての相当額、届出書の記載金額]を必要経費算入
- 留意点①:実際に給料を支給している必要がある(白色申告者の特例との違い)
- 留意点②:配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除は適用不可
- 判定基準:6か月以上従事している、親族が15歳以上(not16歳)
- 白色申告者の特例
- ①50万円(配偶者の場合は86万円)
- ②[事業所得の金額÷(事業専従者の数+1)]
- ①と②のうち小さい方
- 留意点①:実際に給料を支払っている必要はない(青色申告者の特例との違い)
- 留意点②:配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除は適用不可
- 判定基準:親族が15歳以上(not16歳)
山林所得
- 山林所得とは:山林の伐採又は譲渡による所得のうち、取得の日以降5年超保有していたもの(土地部分の譲渡による所得は譲渡所得)
- 計算方法:山林所得=総収入金額ー必要経費ー特別控除額(50万円)ー青色申告特別控除額(10万円、特例使用不可)
不動産所得・事業所得・山林所得まとめ
事業的規模 | 事業的規模以外 | |
---|---|---|
不動産業 | 不動産所得 | 不動産所得 |
林業(5年超) | 山林所得 | 山林所得 |
林業(5年以内) | 事業所得 | 雑所得 |
その他 | 事業所得 | 雑所得 |
- 斜文字:青色申告の原則の対象
- 太文字:青色申告の特例の対象
譲渡所得
総論
- 譲渡所得とは:資産をそのまま他に譲渡した場合における譲渡時までの潜在的な値上げ益
- 譲渡所得に含まれない所得:棚卸資産→事業所得、山林の伐採・譲渡→山林所得
- 非課税となる譲渡所得:生活必需品+時価30万円以下の贅沢貧
- 譲渡損失もなかったものとみなす
解き方の手順
- 生活必需品を除外
- 時価30万円以下の贅沢品を無視
- 譲渡所得を6つに分類
- 総合長期:土地等・建物等・株式等以外で、5年以内
- 総合短期:土地等・建物等・株式等以外で、5年超(特許権は必ず総合長期)
- 分離短期:土地等・建物等、5年以内
- 分離長期:土地等・建物等、5年超
- 上場株式等:保有期間問わず
- 一般株式等:保有期間問わず(ゴルフ会員権は株式等ではなく、総合課税)
- それぞれで譲渡損益を計算
- 総合と分離はそれぞれで長短通算
- 総合は、生活に通常必要でない資産の損失と、特別控除50万円を控除
取得費の算定
- 特例:取得費=収入金額(譲渡した時の対価)の5%←莫大な利益を挙げたときに適用される可能性がある
- 具体例:1万円で買った絵画が1,000万円で売れた→取得費は50万円にできる
- 注意点:譲渡費用は別に加算する
- 非業務用資産の減価の額:取得価額×0.9×旧定額法償却率(1.5倍の耐用年数)×経過年数(年単位)
- ポイント:①旧額法②耐用年数×1.5③月割りしない
- これは雑損控除でも使用する
通常生活に必要でない資産に係る災害等による損失の控除
- 損失額=直前の取得費相当額ー直後の時価ー廃材価額ー保険金等
- 注意点:保険金等は損失額の控除項目(not総収入金額の加算項目)
みなし譲渡等
- 考え方:租税回避を防止するために、時価未満での譲渡はできるだけ対価課税にしたい
- 定額譲渡に該当しない譲渡:譲渡損が出ていても必ず対価課税
- 定額譲渡に該当する譲渡:
- 定額譲渡の条件:[時価÷2>譲渡対価]の時
- 相手が法人の場合(譲渡人・譲受人のいずれかが法人の場合):必ず時価課税
- 個人の場合(譲受人・譲受人の双方が個人の場合):譲渡益→対価課税、譲渡損→繰延べ・引き継ぎ
- 無償(贈与・遺贈・相続・包括遺贈)
- 法人の場合:必ず時価課税
- 個人の場合で限定承認に該当する:時価課税
- 個人の場合で現手承認に該当しない:繰延べ・引き継ぎ
国外転出時価課税
- 条件:国外転出時において有価証券等の価額が1億円以上
上場株式等に係る課税所得
- 上場株式等に係る譲渡所得にマイナスが生じている場合、利子配当(申告分離課税を選択した利子所得と配当所得)との損益通算が可能
利子所得
利子所得総論
- 利子所得とは:定期に定率で多数のもの同じ条件で支払われるもの。
- 源泉徴収:20.315%
- 計算方法:利子所得=収入金額(借入金の利子は控除不可能)
具体例
- 利子所得に該当するもの
- 公社債の利子
- 国債・地方債→特定(申告不要・申告分離)
- 公募公社債・上場公社債→特定(申告不要・申告分離)
- 上場新株予約権付社債→特定(申告不要・申告分離)
- 商工債券、農林債券→特定(申告不要・申告分離)
- その他→一般(源泉分離課税)
- 預貯金の利子→一般(源泉分離課税)
- 合同運用信託の収益の分配→一般(源泉分離課税)
- 私募公社債投資信託の収益の分配→一般(源泉分離課税)
- 公募公社債投資信託の収益の分配→特定(申告不要・申告分離)
- 公募公社債等運用投資信託の収益の分配→特定(申告不要・申告分離)
- 使用人の社内預金の利子→一般(源泉分離課税)
- 利子所得に該当しないもの
- 役員の社内預金の利子→雑所得
- 組合債、学校債→雑所得
- 私募公社債等運用投資信託→配当所得
- 公社債投資信託以外の証券投資信託→配当所得
- 国税又は地方税の還付加算金→雑所得
- 納税準備預金の利子→非課税
- 金融業者の貸付金の利子→事業所得
分類:一般利子等・特定公社債等の利子等
- 一般利子等:源泉分離課税(必ず)
- 具体例:預貯金の利子、合同運用信託の収益の分配、私募公社債投資信託の収益の分配、使用人の社内預金の利子
- 特定公社債等の利子等:申告分離課税 or 申告不要
- 具体例:国債・地方債、公募公社債・上場公社債、商工債券、公募公社債投信信託の収益の分配、公募公社債等運用投資信託の収益の分配
源泉分離課税・申告分離課税・申告不要
源泉分離課税 | 申告不要 | 申告分離課税 | |
---|---|---|---|
各種所得の金額(第1段階)に計上 | × | × | 利子配当(分離) |
源泉徴収税額の控除額に含める | × | × | 〇 |
譲渡所得(上場株式等)と損益通算可能 | × | × | 〇 |
配当所得
配当所得総論
- 配当所得とは:法人(外国法人含む)から受ける所得。
- 源泉徴収:20.42%(上場株式等、特定株式投資信託、公募株式投証券投資信託は20.315%)
- 計算方法:配当所得=収入金額ー負債の利子
- 負債の利子は、課税方法が異なる(例:総合課税と申告不要)の場合は、按分して総合課税の相当分のみ総合課税から控除する
具体例
- 配当所得に該当するもの
- 剰余金の配当
- 利益の配当
- 剰余金の分配
- 金銭の分配
- 基金利息(not利子所得!、法人税法上損金算入されるので配当控除不可)
- 証券投資信託の収益の分配(私募・公募公社債投資信託は利子所得)
- 特定受益権証券発行信託の収益の分配
- 私募公社債等運用投資信託の収益の分配(公募公社債等運用投資信託の収益の分配は利子所得)
- 配当所得に該当しないもの
- 私募・公募公社債投資信託→利子所得
- 公募公社債等運用投資信託の収益の分配→利子所得
- 合同運用信託の収益の分配→利子所得
分類:上場株式等・少額配当・その他
- 上場株式等:総合課税 or 申告分離課税 or 申告不要
- 具体例:上場株式の配当等、特定株式投資信託の収益の分配、公募証券投資信託の収益の分配
- 少額配当:総合課税 or 申告不要
- 要件:1回当たりに支払われる金額が1年あたり10万円以下(半年の場合は5万円以下)。この要件に当てはまっていても、上場株式等に該当する場合は、上場株式等に分類する
- その他:総合課税
総合課税・申告分離課税・申告不要
総合課税 | 申告分離課税 | 申告不要 | |
---|---|---|---|
各種所得の金額(第1段階)に計上 | 配当所得(総合) | 利子配当(分離) | × |
負債の利子の控除できる | 〇 | 〇 | × |
配当控除を適用できる | 〇 | × | × |
源泉徴収税額の控除額に含める | 〇 | 〇 | × |
譲渡所得(上場株式等)と損益通算可能 | × | 〇 | × |
まとめ
上場株式等 | 少額配当 | その他 | |
---|---|---|---|
総合課税 | 〇 | 〇 | 〇 |
申告分離課税 | 〇 | × | × |
申告不要 | 〇 | 〇 | × |
一時所得
- 一時所得とは:営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの
- 一時所得になるもの
- 懸賞の賞金品、生命保険契約等に基づく一時金、法人から贈与により取得する金品、馬券の払戻金、人格のない社団等の解散により受ける清算分配金、ふるさと納税の返戻金
- 非課税とされるもの(一時所得にならないもの)
- 宝くじの当選金品、個人からの贈与(贈与税or相続税)、心身に加えられた損害又は資産に加えられた損害に係る損害保険金・損害賠償金・慰謝料等
- 一時所得の計算方法:一時所得=総収入金額ー収入を得るために支出した金額ー特別控除額(50万円)
- 生命保険契約に基づく一時金の扱い:保険料負担者が誰かによる
- 負担者が自分:所得税
- 負担者が死亡した人:相続税
- 負担者が死亡した人と自分以外:贈与税
- 負担者が複数人:負担割合で、所得税・相続税、贈与税に振り分け
雑所得
- 雑所得とは:他の所得に該当しないすべての所得
- 公的年金等:
- 年金給付:雑所得(公的年金控除額がある)
- 一時金支給:退職所得
- 生命保険:
- 年金給付:雑所得(控除額なし)
- 一時金支給:一時所得
- 公的年金等以外の雑所得
- 役員等の勤務先預金の利子、学校債・組合債の利子、友人に対する貸付金の利子、国税・地方税の還付加算金、人格のない社団等から受ける収益の分配金、生命保険の年金、競走馬の保有に係る所得、先物取引の差金決済、暗号資産の譲渡利益
- 先物取引の差金決済は分離課税、それ以外は総合課税
損益通算
損益通算(不事山譲)の手順
- 不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の損失を把握
- 所得をグループ化
- グループ内で不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得(総合)の損失を他の所得と相殺
- ③で相殺しきれなかった損失を他のグループに割当て(経常所得グループ→譲渡・一時所得グループ→山林所得→退職所得の順で)
- 総所得金額、山林所得金額、退職所得金額を算定(この時、総合譲渡長期と一時所得は2分の1をしている)
- ⑤を合算すると合計所得金額。合計所得金額ー損失の繰越控除=課税標準額
- 注意点:生活に通常必要でない資産に係る所得の金額の計算上生じた損失は損益通算できない
- 具体例:別荘、茶室などから生じた不動産所得の損失
- 特例:競走馬の譲渡に係る損失の金額は競走馬の保有に係る雑所得の金額から控除する
上場株式等に係る損益通算
- 上場株式等に係る譲渡所得にマイナスが生じている場合、利子配当(申告分離課税を選択した利子所得と配当所得)との損益通算が可能
損失の繰越控除
- 期間:3年間
- 要件:純損失が生じた年に青色申告していること
- 繰越控除の順序
- 総所得金額の計算上生じた損失の金額:総所得金額→山林所得の金額→退職所得の金額
- 山林所得の計算上生じた損失の金額:山林所得の金額→総所得金額→退職所得の金額
- 損失の繰越控除を行ったあとの金額は「課税標準額」
所得控除
控除する順番
- 雑損控除を優先。それ以外は同順位
- 順番:総所得金額→短期譲渡所得の金額→長期譲渡所得の金額→上場株式等に係る配当所得等→一般株式等に係る譲渡所得等の金額→上場株式等に係る譲渡所得等の金額→先物取引に係る雑所得等の金額→山林所得金額→退職所得金額
所得控除の種類
- 人的控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
- 障碍者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除
- 物的控除→すべて現金主義
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
人的控除まとめ
-
基礎控除:*合計所得金額*2,400万円以下は48万円控除
-
配偶者控除:自分の合計所得金額が1,000円以下の場合で、配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合、38万円控除
- 配偶者が70歳以上の場合は48万円控除
-
配偶者特別控除:自分の合計所得金額が1,000円以下の場合で、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合、段階的に控除
-
扶養控除
- 前提:扶養親族の合計所得金額が48万円以下であること
- 中学生以下:児童手当を受けるため控除されない
- 高校生(の年齢):38万円
- 大学生(の年齢):63万円
- 両親(70歳未満):38万円
- 両親(70歳以上+同居していない):48万円
- 両親(70歳以上+同居):58万円
-
合計所得金額とは:課税標準額(第2段階)の損失の繰越控除前の金額
雑損控除
- 対象資産:生活に通常必要な資産
- 損失事由:災害・盗難・横領
- 損失の金額:被害直前の時価と取得費相当額の有利選択をする必要あり
- 損失の金額=(被害直前の時価 or 取得費相当額)ー被害直後の時価ー廃材価額ー保険金等の額ー災害等関連支出の額
- 雑損控除額:下記のいずれかの有利選択
- 損失の金額ー課税標準額(第2段階)×10%
- 災害関連支出ー5万円
- 注意点:
- 雑損控除額に上限はない
- 雑損控除額の算定で有利選択をする場面が2つある
- 課税標準額が所与ではない場合は、試験で解かない方がよい
- 解く手順
- ①取得費相当額(非業務用資産の減価償却)を算定
- ②被害直前の時価と取得費相当額のうち大きい方を採用
- ③損失の金額の算定
- ④雑損控除額の有利選択
医療費控除
- 医療費控除=支出医療費の額ー足切限度額
- 注意点:最大200万円という上限がある
- 支出医療費の額=医療費の額ー保険金等の額
- 足切限度額=課税標準額(第2段階)×5% or 10万円
- 対象となる医療費の範囲
- 対象:診療・治療の対価、医薬品の購入の対価、通院費
- 対象外:差額ベッド料金、美容整形、健康診断、通常のメガネの購入費
- 医療費控除の特例
- 控除額=特定一般医療品等購入費ー1万2千円
- 注意点①:最大8万8千円という上限がある
- 注意点②:医療費控除の原則との有利選択
- 注意点③:特定一般医薬品等購入費は、原則の医療費控除算定の際の支出医療費でもある
- 解く手順
- ①医療費に該当するものを集計
- ②保険金を控除
- ③足切限度額を引く(99%の確率で10万円)
- ④特例をチェック
- ⑤原則と特例の有利選択
- 試験で出たら解きにいく(課税標準額を求める必要があるが、課税標準額が200万円以上の場合は必ず足切限度額は10万円になる)
社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除
- 控除額:支出額の全額
- 社会保険料の範囲:健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険
- 小規模企業共済等掛金:小規模企業共済の掛金、確定拠出年金の掛金
- 超簡単なので、必ず部分点を取りに行く
- 論点となるもの:現金主義!
- 解く手順
- ①現金主義(未払い・前払いを確認)
- ②対象のものを集計
生命保険料控除
- 新旧に分類し、下書きを作って計算
- それぞれで控除額を計算
- 新旧両方に加入している場合、[新旧合計額(最大4万円)・新・旧]を有利選択
- 上限12万円
寄附金控除
- 特定寄附金の範囲
- 対象:ふるさと納税、国立大学への寄付(入学に関するもの除く)、政党・政治資金団体への寄付
- 対象外:学校の入学に関する寄附金(国立含む)、宗教法人、町内会、商工会議所
- 計算手順
- ①特定寄附金を集計
- ②課税標準額×40%と特定寄附金の合計額を比較
- ③控除額=②ー2千円
- 注意点:出たら解きにいく(課税標準額を求める必要があるが、そもそも課税標準額×40%を超えることは考えにくい)
算出税額の計算
- 税率の適用
- 課税総所得金額:超過累進税率
- 課税退職所得金額:超過累進税率
- 課税山林所得金額:五分五乗
- 上場株式等に係る課税配当所得等(利子配当)の金額:15%
- 上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額:15%
- 一般株式等に係る課税譲渡所得等の金額:15%
- 課税長期譲渡所得金額:15%
- 課税短期譲渡所得金額:30%
- 先物取引に係る課税譲渡所得等の金額:15%
税額控除(配当控除)の計算
- 配当控除の対象となる配当:総合課税のみ(申告不要・申告分離は不可)
- 課税総所得金額等(課税標準額から所得控除を引いたものの合計から課税退職金額と課税山林金額を除いたもの)が1000万円を超えるかどうか
- 配当控除額=配当所得の金額×控除率
- 剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、特定株式投資信託の収益の分配:10%(課税総所得金額等が1000万円を超える場合は5%)
- それ以外:5%(課税総所得金額等が1000万円を超える場合は2.5%)
- 一般外貨建等証券投資信託:2.5%(課税総所得金額等が1000万円を超える場合は1.25%)
- 特定外貨建等証券投資信託:なし
- 復興特別所得税を計算
- 復興特別所得税額=基礎所得税額×2.1%
- 基礎所得税額=算出税額ー税額控除(配当控除)
源泉徴収税額の計算
- 源泉徴収税額の控除対象となるもの
- 利子:源泉分離課税制度は対象外、申告不要制度も対象外
- 配当:申告不要制度は対象外、総合課税・申告分離課税は対象内
- その他(懸賞の賞金に係る源泉徴収とか):対象内
- 注意点:所得税とともに源泉徴収されている住民税は控除不可
- 申告納税額の算定
- 申告納税額(百円未満切捨)=算出税額ー税額控除+復興特別所得税ー源泉徴収税額
第三期納付税額の計算
- 第三期納付税額=申告納税額ー予定納税額申告納税額ー予定納税額
本試験で何をすべきか
本試験の解く順番と時間配分
- 理論(40分)
- 消費税(20分)
- 所得税(20分)
- 法人税(40分)
所得税法開始時にすべきこと
- 以下を下書きする
対象 | 備考 | |
---|---|---|
青色申告特別控除 | 不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額→「不事山」 | 原則10万円、特例55万円(電子申告者65万円) |
特別控除 | 山林所得の金額、譲渡所得(総合)の金額、一時所得の金額→「山譲一」 | すべて50万円 |
支出金額が控除額として所与のもの | 給与所得の金額、退職所得の金額、雑所得(公的年金等)の金額 | 速算表を用いて算出 |
損益通算ができるもの | 不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得(総合)の金額→「不事山譲」 | グループ内でまず相殺 |
何から手をつけるべきか
- 社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除
- 基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除(合計所得金額が所与じゃない場合でもとりあえず埋める)
- 医療費控除・生命保険料控除・寄附金控除()
- 雑損控除(課税標準額が所与の場合)
- 配当控除(配当控除の対象となる配当額、課税総所得金額等が所与の場合)
- 給与所得の金額、退職所得の金額、雑所得の先物取引の金額
- 利子所得・配当所得の金額、源泉徴収税額の計算
- 譲渡所得全般(みなし譲渡絡む場合は後回し)
- 不動産所得・事業所得