財務会計論(理論)

ストック・オプションその2 (2020年10月1日・財務会計論(理論))

短答式試験まで 233 日

論文式試験まで 322 日

会計基準の適用対象とする取引

適用範囲

  • 従業員等に対してストック・オプションを付与
  • 対価として自己株式オプションを付与すると取引
  • 対価として自社の株式を交付する取引

子会社の従業員に対する親会社株式

  • 適用範囲内
  • 会計処理
    • 親会社側:株式報酬費用 XXX / 新株予約権 XXX
    • 子会社側:給料手当 XXX / 株式報酬受入益 XXX(子会社の報酬として位置づけられていない場合には会計処理を要さない)

適用対象に含まれない取引

  1. 自社株式オプション又は自社の株式を用いない取引
  2. 付与した自社株式オプション又は交付した自社の株式が、財貨又はサービス取得の対価にあたらない場合
  3. デット・エクイティ・スワップ取引
  4. 取得するものが事業である場合
  5. 従業員持株制度において自社の株式購入に関し、奨励金を支出する取引
  6. 敵対的買収防衛策として付与される自社株式オプション

ストックオプションの会計処理に対する様々な見解

費用計上しないべき論拠とその反論

  1. 現金その他の会社財産の流出を生じさせるわけではない
    • 反論:新株予約権を対価としてサービス提供を受ける取引であるので、無償でサービスを受ける取引とは根本的に違う
  2. 新旧株主間の富の移転が生じるに過ぎない
    • 反論:対価関係にあるサービスを受け入れているので有利発行とは異なる
  3. サービス提供の対価として付与されているという前提に疑問
    • 反論:そんなことはないよ。(報酬性を有する
  4. ストックオプションの公正な評価額の見積りに信憑性がない
    • 反論:公開企業については大丈夫

権利不行使による失効を利益に計上する論拠

  • サービスは既に消費されているので、過去の費用計上は否定されない
  • 会社は無償でサービスの提供を受けて、それを消費した
  • 株主との直接的な取引ではないので、損益取引として計上する

ストック・オプションの条件変更の会計処理

分類

  • 公正な評価単価の変動
    • 評価単価の上昇:費用の追加計上
    • 評価単価の下落:費用の減額を行わない。理由は、従業員等にとってより価値のあるものにすることで、提供される労働サービスの価値は上昇するのにも関わらず、条件変更により逆に費用を減額させてしまうというパラドックスが起こってしまう
  • ストック・オプション数を変動
    • 意図しない変更:その影響額を見直した期に損益として処理する
    • 意図した変更:条件変更前の費用計上を継続して行う。公正な評価額の変動額を残存期間にわたって合理的な方法により計上
  • 計上期間を変動:条件変更前の残存期間に計上すると見込んでいた金額を、以後、合理的な方法に基づき、新たな残存期間にわたって費用計上する

その他の論点

未公開企業の取り扱い

  • 原則:公開企業と同様
  • 例外:ストック・オプションの単位あたりの本源的価値の見積りに基づいて会計処理を行うことができる
    • ストック・オプションの価値がゼロとなる結果事実上費用が計上されなことになる
  • 公開直後の企業:例外処理は認められない

評価額の算定時点

  • ストック・オプション取引:付与日
  • 自社株式オプションの付与:契約締結日
  • 自社の株式を交付:契約締結日

今日やったこと

  • 管理会計論の続きの財務情報分析の論点
  • 財務会計論(理論)の復習
  • 財務会計論(計算)の転換社債型新株予約権付社債・連結退職給付会計の復習
  • 財務会計論(理論)のストック・オプションの続きの論点

明日やること

  • 管理会計論の続きの論点
  • 財務会計論(理論)のキャッシュ・フローの論点
  • 財務会計論(理論)の復習
  • 財務会計論(理論)の答案練習