財務会計論(理論)

税効果会計・連結会計 (2020年9月9日・財務会計論(理論))

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論文式試験まで 344 日

税効果会計概要(税効果会計)

法人税等の範囲

  1. 法人税
  2. 都道府県民税、市町村民税
  3. 利益に関連する金額を課税基準とする事業税
  • 上記の3つ以外:販管費の租税公課

税効果会計の目的

  • P/L:法人税等の額が税引前当期純利益と期間的、合理的に対応しない
  • B/S:将来の法人税等の支払額に対する影響が表示されない
  • 基準では:P/L上の目的のみ定めている

税効果会計の差異(税効果会計)

一時差異と期間差異

  • 一時差異:B/S重視(現行)
  • 期間差異:P/L重視
  • 両者の範囲はほぼ一致(例外:その他有価証券評価差額金)。一時差異の方が期間差異より広い概念

一時差異の分類

  • 将来減算一時差異:繰延税金資産を計上
  • 将来加算一時差異:繰延税金負債を計上

重要性が乏しい場合

  • 繰延税金資産、繰延税金負債を計上しないことができる(容認)

税効果会計の方法(税効果会計)

繰延法 資産負債法
対象となる差異 期間差異 一時差異
適用する税率 発生年度(現行税率) 解消年度(予測税率)
税率変更時 再計算しない 再計算する
重視する点 発生時のP/L B/S解消時のP/L
  • 現行:資産負債法

繰延税金等の計上方法(税効果会計)

表示区分

  • 繰延税金資産投資その他の資産(固定資産)
  • 繰延税金負債固定負債
  • 流動資産にしない理由:換金性のある資産ではないから

相殺表示

  • 同一納税主体のものを相殺表示
  • 注意:連結子会社の分は相殺しない(納税主体が異なる)

計上が認められる繰延税金

  • 将来の会計期間において回収又は支払いが見込まれれない税金の額を控除して計上しなければならない
  • 例:当期に多額の損金不算入(将来減算一時差異)が発生したが、来期の税引前利益が少なく、課税所得がマイナスになってしまう

繰延税金資産の回収可能性

  • 繰延税金資産毎期見直しをする(繰延税金負債はしなくてよい)
  • 回収可能性の判断基準
    • 1.収益力
    • 2.タックスプランニング
    • 3.将来加算一時差異(圧縮積立金・特別償却準備金)

適用税率

  • 資産負債法なので、予測税率
  • 基準:決算日において国会で成立している税法

税率変更

  • 新たな税率に基づき再計算
  • 通常の処理:繰延税金資産・繰延税金負債は、法人税等調整額を相手勘定として処理
  • 資産の評価替え:繰延税金資産・繰延税金負債は、その他有価証券評価差額金を相手勘定として処理

税効果会計における注記(税効果会計)

注記の種類

  • 発生原因別
  • 法人税等の率と実効税率の差異の原因永久差異
    • 注意:法定実効税率の5%以下である場合は省略可
  • 税率の変更による修正
  • 決算日後の税率変更による影響

連結基礎概念

親会社説

  • 連結財務諸表は親会社の立場から作成されるものと捉える
  • 非支配株主持分の扱い:株主資本の区分に掲載されない
  • 従来の考え方

経済的単一体説

  • 連結財務諸表を非支配株主を含めた企業集団全体の立場から作成されるものと捉える
  • 非支配株主持分の扱い:株主資本の区分に掲載される
  • 国際財務報告基準(IFRS)はこの考え方:
    • 諸外国との比較可能性を考えて、現在は経済的単一体説に近づいている
    • 現在は、親会社説と経済的単一体説が混同しているため、理論的な一貫性が失われている

連結基礎概念と会計主体論

  • 連結基礎概念は、会計主体論のうち、資本主理論を前提としている

連結財務諸表の一般原則

連結会計基準における一般原則

  • 真実性の原則
  • 個別財務諸表基準性の原則
  • 明瞭性の原則
  • 継続性の原則

個別財務諸表基準性の原則

  • 個別財務諸表を基礎として作成する
  • 基準に準拠
  • 個別上不適合なものがあれば、修正する必要がある

連結財務諸表の一般基準

3つの一般基準

  1. 連結の範囲
  2. 連結決算日
  3. 親会社及び子会社の会計方針

連結の範囲

  • 持株基準(従来)
    • 連結基礎概念:親会社説
    • 基準:50%超
  • 支配力基準(現行)
    • 連結基礎概念:経済的単一体説
    • 基準:50%超(特定の要件を満たしていればそれ以外でも適用)
    • 現行である理由:事実上支配している会社を含めることができる。連結外しができなくなる
  • 連結の範囲:
    • 原則:子会社は連結の範囲
    • 例外:①支配が一時的利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがある
    • 例外容認:重要性の乏しいもの
  • 連結会社とは:親会社及び連結される子会社(非連結子会社・持分法適用会社は含めない)

今日やったこと

  • 財務会計論(理論)の税効果会計・連結会計の論点
  • 管理会計論の追加材料・工程別総合原価計算の論点

明日やること

  • 管理会計論の練習問題(工程別総合原価計算の諸論点)
  • 財務会計論(計算)の答案練習