短答式試験まで 239 日
論文式試験まで 328 日
目次
財務諸表の構成要素
資産
- 繰延資産:資産の定義に当てはまる
- 資産計上が否定される論拠:認識に関する制約条件を満たさない(蓋然性)
収益
- 純利益又は非支配株主に帰属する純利益を増加させる項目
- 資産の増加や負債の減少のうち、投資のリスクから開放された部分
- 資産の増加や負債の減少を伴わないケース:新株予約権の失効
- 投資のリスクから解放:売買目的有価証券のように、実質的にキャッシュの獲得とみなされる事態も含まれる
- 測定基準:収支額
費用
- 純利益又は非支配株主に帰属する純利益を減少させる項目
- 資産の減少や負債の増加のうち、投資のリスクから開放された部分
- 資産の減少や負債の増加を伴わないケース:包括利益のリサイクル、組替調整
- 投資のリスクから解放:キャッシュが獲得された時だけでなく、キャッシュを獲得できないと判断されたとき(減損)も含む
- 測定基準:収支額
包括利益と純利益の比較
包括利益 | 純利益 | |
---|---|---|
リスクから解放されていない投資 | 含む | 含まない |
成果の帰属ないし範囲 | 親会社株主以外に帰属する部分も含まれる | 親会社株主に帰属する部分のみ含まれる |
- 純利益=包括利益
ー投資のリスクから解放されていない部分
+過年度に計上された包括利益のうち期中に投資のリスクから開放された部分
ー非支配株主に帰属する純利益 - 包括利益と純利益の併存:包括利益は純利益と代替不可。包括利益は純利益とは独立した地位
- 包括利益と純利益の共通点:ネット・キャッシュフローは各期の利益の合計と等しくなる(一致の原則)
財務諸表における認識と測定
構成要素の認識に関する論点
- 認識の契機と蓋然性の両方を満たして認識が認められる
- 認識の契機
- ①契約の少なくても一方の履行(一方のみの例:未収収益)
- ②いったん認識した資産・負債に生じた価値の変動(例:デリバティブ取引)
- 認識に求められる蓋然性:一定程度の発生の可能性
- 製品保証引当金:一定程度発生する可能性があれば、認識することは妥当
資産の測定
- 測定値の選択:積極的に並列
- 取得原価:原始取得原価。未償却原価も取得原価に含まれる。投資の継続性が前提で、資産の利用に伴う費用を測定する上で重要な意味を持つ
- 市場価格
- 購買市場と売却市場とが区別されてない場合(例:証券取引所における価格)
- 再調達原価(例:残存有用原価説の棚卸資産の低価基準):資産の購買活動の良否を表す
- 正味実現可能価額(例:棚卸資産の低価基準):資産を期末に売却したら生じたはずの損益
- 割引価値
- 利用価値(使用価値、例:減損会計):報告主体の主観的な期待価値であり、自己創設のれんが計上されてしまう。
- 市場価値を推定するための割引価値(例:スワップ取引など、取引市場のないデリバティブ取引)
- 将来キャッシュフローのみを継続的に見積もり直す場合(例:キャッシュフロー見積法による再建評価):取得時点における割引率
- 入金予定額(例:売掛金、受取手形):回収可能見込額。借り手の信用状況の変化が反映(例:貸倒引当金)
- 被投資企業の純資産額に基づく額(例:持分法)
収益の認識
- 事前に期待された成果が事実に転化した時点(=投資のリスクからの開放時)で把握されるべき
- 理由:従来の「実現」主義だと「売買目的有価証券」の評価益の計上を説明できない。一方、近年台頭している「実現可能」という概念は「活発な流通市場が存在する」という基準をとっているので、「その他有価証券」の評価差額を純資産の部に計上する会計処理が説明できない。よって「投資のリスクからの開放」という新しい概念を作って、すべての処理との整合性を図った。
- 具体例:
- 通常の商品販売:販売時が投資のリスクからの解放時点(代金回収リスクは僅少と考える)
- 割賦販売:割賦売掛債権が回収された時点が投資のリスクからの解放時点
- 長期請負工事:工事の進捗度が進んだ時点が投資のリスクからの解放時点
- 売買目的有価証券:時価が変動した時点が投資のリスクからの解放時点
- その他有価証券:有価証券を売却した時点で投資のリスクから解放
- 実現主義ではキャッシュを獲得していない場合、収益は認識しない。その一方、リスクからの解放という観点からは収益を認識する場合がある(例:売買目的有価証券)
- 実現可能概念(その他有価証券の評価差額等を含む)>投資のリスクからの解放(売買目的有価証券の評価差額等を含む)>実現概念(2要件を満たす実現主義)
収益の測定
- 交換に着目した収益の測定:財やサービスを第三者に引き渡すことで獲得した対価。計上額は、資産の増加額もしくは負債の減少額
- 同じ事業に拘束されていない資産を対価として取得することが条件(反例:建物の交換)
- 市場価格の変動に着目した収益の測定(例:売買目的有価証券):資産や負債に関する市場価格の有利な変動によって収益を捉える方法
- 契約の部分的な履行に着目した収益の測定(例:未収収益):財やサービスを継続的に提供する契約が存在する場合、契約の部分的な履行に着目して収益をとらえる方法
- 被投資企業の活動成果に着目した収益の測定:投資企業が、被投資企業の成果の獲得に応じて投資勘定を増加させて収益を捉える方法
費用の測定
- 交換に着目した費用の測定
- 市場価格の変動に着目した費用の測定
- 契約の部分的な履行に着目した費用の測定
- 利用の事実に着目した費用の測定(例:減価償却、繰延資産)
今日やったこと
- 財務会計論理論の概念フレームワークの論点
- 管理会計論の直接原価計算の続きの論点
- 財務会計論(計算)の包括利益・事業分離の復習
明日やること
- 管理会計論の続きの論点
- 管理会計論の答案練習
- 財務会計論(理論)のまとめ
- 管理会計論の計算問題