財務会計論(理論)

固定資産、繰延資産 (2020 年 9 月 1 日・財務会計論)

短答式試験まで 263 日

論文式試験まで 352 日

減価償却(続き)(固定資産)

取替法

  • 取替法とは:取替費用を収益的支出として処理(減価償却とは全く異なる)
  • 適用例:レール、信号機などの「取替資産」
  • 会計処理:取替時の支出額をその期の費用とする
  • 特徴:
    • ①現在の支出額を費用とする
    • 後入先出法の考え方を適用(同一物価水準で収益と費用が対応する)
    • ③帳簿価額は原始取得原価

減価償却累計額の表示方法

  • 原則:各資産科目の控除項目
  • 例外①:一括して計上
  • 例外②:直接控除注記が必要)
  • 補足:貸倒引当金と同じ

減価償却費の表示区分

  • 営業用:
    • 製品製造と関係なし(本社ビル):販管費
    • 製品製造と関係あり(製品製造の機械):売上原価または棚卸資産
  • 営業用ではない投資不動産):営業外費用
  • 休止資産、遊休資産営業外費用

備忘価額

  • 償却後の固定資産に残存価額がない場合に、会計帳簿の残すために1円を計上

有形固定資産の棚卸資産の費用配分の違い

  • 棚卸資産:物量的に費用計算できる→消費数量×単価
  • 有形固定資産:物量的に費用計算できない→減価償却(仮定計算)

有形固定資産のその他の論点(固定資産)

遊休施設・未稼働設備

  • 将来営業の用に供する目的で保有している場合、遊休施設・未稼働設備は有形固定資産に計上される。(投資その他の資産ではない)
  • 注意:減価償却費は営業外費用

無形固定資産(固定資産)

無形固定資産の分類

  • 法律上の権利:特許権、商標権、鉱業権、ソフトウェア
  • 経済的事実:のれん

無形固定資産の償却

  1. 残存価額ゼロ
  2. B/Sに未償却残高を表示
  3. 定率法はだめ(残存価額ゼロだから)

のれんの種類

  1. 買入のれん(認められる)
  2. 自己創設のれん(認められない)
    • 理由①測定が困難で、恣意性が介入するおそれあり
    • 理由②未実現利益を計上することになり、収益の実現主義に反する

のれんの償却

  • 現行:のれんは一定の年数で償却する(償却必要説)
    • 理由:のれんは企業の超過収益力だから、時の経過により減少する。
  • 償却不要説の理由:のれんは企業の信用力だから、時の経過によりむしろ増大し、減少するものではない

繰延資産総論

繰延資産の処理

  • 原則:支出時に費用として処理
  • 例外:資産計上

繰延資産の種類とまとめ

  • 合計5個
  • 社債発行費等には、①社債発行費②新株予約権発行日がある
償却期間 償却方法 償却額の表示区分
株式交付費 3年以内 定額法 営業外費用
社債発行費 社債の償還期間 原則:利息法、例外:定額法 営業外費用
新株予約権発行費 3年以内 定額法 営業外費用
創立費 5年以内 定額法 営業外費用
開業費 5年以内 定額法 原則:営業外費用、例外:販管費
開発費 5年以内 定額法その他の合理的な方法 売上原価又は販管費
  • 補足:
    • 株式交付費:企業規模拡大の要件あり。資本から直接控除する考え方もある(国際基準)。
    • 新株予約権発行日:企業規模拡大の条件なし
    • 創立費と開業費:会社法では資本金から減額することが可能。ただ、会計上は費用処理(例外:繰延処理)
    • 開発費:経常性のあるものは含まれない

繰延資産の一時償却

  • 繰延資産は、減損処理をする

会社法における繰延資産との比較

  • 会社法静態論を前提(繰延資産の資産計上には否定的
    • 補足:会社法は「債権者保護を重視
  • 会計上:動態論を前提(繰延資産は資産計上するべき
  • 「当面の取り扱い」:バランスをとっている

臨時巨額の損失

  • 繰延処理できる
  • 例:地震による建物の倒壊
  • 会計上:損失の繰延なので、経済的資源ではなく、資産の定義を満たさない→損失の繰延は否定される

予想される問題

  • 減価償却の論点(取替・表示区分)
  • 無形固定資産の論点(償却・のれん)
  • 繰延資産の論点(種類・償却)

今日やったこと

  • 管理会計論の答案練習
  • 財務会計論(理論)の固定資産、繰延資産の論点

明日やること

  • 財務理論の答案練習
  • 管理会計論の単純総合原価計算