財務会計論(理論)

損益会計、貸借対照表総論、資産会計総論  (2020年8月26日・財務会計論)

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現行制度における具体的な収益の認識(損益会計)

まとめ

発生主義 実現主義 現金主義
通常の販売 - 販売基準 -
委託販売 - 販売基準 -
試用販売 - 販売基準 -
予約販売 - 販売基準 -
割賦販売 - 販売基準(原則) 回収基準(例外)
請負工事 工事進行基準 工事完成基準 -
農耕生産物 収穫基準(例外) 販売基準(原則) -
未収収益 時間基準 - -
自由職業者 - 販売基準(原則) 入金基準(例外)
  • 実現主義通常の販売、委託販売、試用販売(取引先が意思表示した時点)、予約販売(引渡しまで前受金として処理)、割賦販売(原則)、請負工事(工事完成基準)、農耕生産物(原則)、自由職業者(原則)
  • 発生主義請負工事(工事進行基準)農耕生産物(収穫基準、例外)未収収益(時間基準)
  • 現金主義割賦販売(回収基準、例外)自由職業者(入金基準、例外)

内部利益(本支店会計)

  • 売上高・売上原価から除去
  • 振替損益売上原価に配賦

費用の認識基準(損益会計)

基本

  • 発生主義

発生費用と期間費用

  • 発生費用:発生主義により認識された費用
  • 期間費用:実現主義により認識された期間収益に対応する費用

費用収益対応の原則

  • 意味:当期の期間収益に対応する期間費用を決定する
  • 実質的な意義:
    • 1.個別的対応:例:売上高と売上原価を商品を媒介して対応させる
    • 2.期間的対応:例:広告宣伝費を全額当期の費用として処理する
    • 個別的対応のほうが期間的対応より厳密である
  • 形式的な意義:見た目・表示上の意義。対応表示する。
  • 期間収益と期間費用の決定順序:
    • 通常:期間収益が先に決定
    • 例外:期間費用が先に決定(例:工事進行基準

利益の特質と当期業績主義/包括主義(損益会計)

利益が満たすべき 2 つの性質

  1. 分配可能性
    • 理由:利害調整機能株主と債権者
    • 結果:特別損益項目も含める分配可能利益
    • 主義:包括主義
  2. 尺度性
    • 理由:情報提供機能
    • 結果:特別損益項目は含めない業績表示利益
    • 主義:当期業績主義

当期業績主義と包括主義の優劣

  • 包括主義は、正常的収益力(業績表示利益)と分配可能利益のどちらも提供できるので、優れている。

損益計算書の表示(損益会計)

表示項目

  • 売上高
  • 売上原価
  • 販売費及び一般管理費
  • 営業外収益・営業外費用
  • 特別利益・特別損失

総額主義

  • 費用・収益は総額によって表示する
  • 総額主義 ⇔純額主義
  • 例外:為替差損益

貸借対照表の表示・作成(貸借対照表総論)

総額主義

  • 資産・負債は総額によって表示する
  • 例外:繰延税金資産・繰延税金負債

貸借対照表の区分表示

  • 資産の部
    • 流動資産
    • 固定資産
  • 負債の部
    • 流動負債
    • 固定負債
  • 純資産の部

流動・固定分類

  • 流動・固定分類をする理由:財政状態の把握しやくする(情報提供機能)
  • 基準
    • 1.正常営業循環基準
    • 2.一年基準(ワンイヤー・ルール)
    • 正常営業循環基準が優先される。(例:売掛金の回収が 3 年先でも流動負債である)
  • 例外:
    • ① 経過勘定:前払費用は一年基準が適用されるが、未収収益・未払費用・前受収益は常に流動項目
    • 繰延資産:流動資産でも固定資産でもない
    • 出資金常に固定資産

貸借対照表の配列

  1. 原則:流動性配列法
  2. 例外:固定性配列法固定資産の割合が極めて高い電力会社やガス会社が適用している

資産の概念(資産会計総論)

資産とは

資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体(企業)が支配している、経済的資源をいう。

  • 経済的資源:キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉。別名「収益獲得能力」「用役潜在力」「経済的効益」

「静態論」下での資産概念

  • 資産とは:換金可能なもの=「財貨及び法律上の権利
  • 評価:売却価額により評価

「動態論」下での資産概念

  • 資産とは:将来費用となるもの支出未費用項目
  • 評価:取得原価により評価

現行制度での資産概念

  • 資産とは:資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体(企業)が支配している、経済的資源をいう。
  • 静態論と動態論の間に立っている
  • 評価:資産の性質による

資産の分類(資産会計総論)

貨幣・費用分類

  • 貨幣性資産
    • 評価:回収可能価額
    • 例:現金預金・売掛金・貸付金
  • 費用性資産
    • 評価:取得原価
    • 例:棚卸資産・建物・ソフトウェア、繰延資産
  • 利点
    • 1.期間損益計算を重視
    • 2.測定面を重視
    • 3.資本の循環過程を重視(貨幣性資産=資本回収過程・投下待機過程、費用性資産=資本投下過程

流動・固定分類

  • 貸借対照表における表示に適用

金融・事業分類

  • 金融投資:
    • 1.事業上の制約なくいつでも換金可能なもの
    • 2.市場評価額と企業の評価額が同じ
    • 例:売買目的有価証券
  • 事業投資
    • 1.事業上の制約あり
    • 2.市場評価額と企業の評価額が異なる
    • 例:子会社株式

資産の評価(資産会計総論)

まとめ

客観性・検証可能性 現在の経済的価値 未実現利益 操業利益と保有利得
取得原価 あり 適切に示さない 排除できる 区別できない
時価主義 なし 適切に示す 混入する
再調達原価 なし 適切に示す 混入する 区別できる
正味実現可能価額 なし 混入する 区別できる
割引現在価値 なし

予想される問題

  • 損益会計における具体的な収益認識を問う問題
  • 損益会計における費用認識を問う問題
  • 貸借対照表における流動・固定分類についての問題
  • 資産の概念についての問題
  • 資産の分類についての問題
  • 資産の評価についての問題

今日やったこと

  • 財務会計論(理論)の損益会計、貸借対照表総論、資産会計総論の論点
  • 管理会計論の製造間接費の論点
  • 練習問題

明日やること

  • 管理会計論の答案練習
  • 財務会計論(計算)の復習
  • 財務会計論(計算)の答案練習
  • 財務会計論(理論)の復習