財務会計論(理論)

一般原則、貸借対照表・損益計算書総論、損益会計  (2020年8月24日・財務会計論)

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一般原則(続き)

保守主義の原則

  • 意味:収益の計上を控えめにする一方、費用の計上は積極的に行うこと
  • 理由:企業の財務基盤がより強固になり、企業自体の健全な経営、さらには企業の存続を維持することが可能に
  • ポイント①:1つの会計事実に対して複数の会計処理が認められている場合、最も保守的なものを選択する(例:減価償却)
  • ポイント②:会計上の見積りや判断において最も保守的に行う(例:貸倒引当金の設定)
  • 保守主義の原則と真実性の原則の関係:本来相反するもの。ただ、保守主義の原則は相対的真実性を反することはないと捉える。しかし、過度の保守主義は禁止される

単一性の原則

  • 実質一元形式多元
  • 実質一元:会計帳簿一組
  • 形式多元:財務諸表目的に応じて作成できる

重要性の原則

  • 意味:重要性の乏しいものについては本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便的な方法によることも認められる
  • 形式上は一般原則に含まれないが、実質一般原則の一部である。
  • 注意:重要性が乏しいものでも、原則は厳密に行い、例外として簡便的な方法をとるこも認められる。
  • 重要性が低いもの=財務諸表は利用者の意思決定に大きな影響のないもの
    • 重要性の判断基準①:量的重要性金額の大小から判断
    • 重要性の判断基準②:質的重要性内容や性質からその重要性を判断
  • 正規の簿記の原則と重要性の原則の関係:重要性の原則を適用した結果生ずる簿外資産・簿外負債は「正規の簿記の原則」に従った処理として容認される
  • 明瞭性の原則と重要性の原則の関係:重要性の原則明瞭性の原則の概観性を補完しているといえる

期間利益の算定方法(貸借対照表・損益計算書総論)

財産法

  • 実地調査を前提とし、B/Sの差額を元に期間損益を計算
  • 期間利益期末純資産額ー期首純資産額

損益法

  • 帳簿記録を前提とし、一会計期間の収益と費用の差額を期間損益とする
  • 期間利益期間収益ー期間費用

財産法と損益法の比較

財産法 損益法
利益の発生原因 明らかにされない 明らかにできる
実在するものを前提とした期間損益 算定できる 算定できない

現行制度における取扱い

  • 損益法を基礎としながら、実地調査を一部採用し、補完している

貸借対照表の作成方法(貸借対照表・損益計算書総論)

棚卸法

  • 実地調査を行って、財産目録を作成
  • 特徴:独立に作成するこができる
  • 財産法と関連する

誘導法

  • 帳簿記録から、貸借対照表を作成
  • 損益法と関連する

静態論会計と動態論会計(貸借対照表・損益計算書総論)

静態論

  • 目的:債権者保護
  • B/Sの目的:企業の債務弁済能力(解体価値)を表示
  • 実地調査を行う
  • 資産は換金能力のあるもののみ、負債は法的債務のみ
  • ポイント:貸借対照表を重視し、債務弁済能力を表示

動態論

  • 目的:投資者保護
  • B/Sの目的:当期と時期の損益計算を結びつける連結環
  • 資産には換金能力をもたないもの、負債には債権製のない引当金などを表示する
  • ポイント:損益計算書を重視し、企業の収益力を表示

静態論と動態論まとめ

静態論 動態論
時代背景 17~20世紀初頭 20世紀初頭~現在
会計の目的 債権者保護 投資者保護
B/Sの本質 企業の債務弁済能力を表示 収支の未解決項目を収容
期間損益の算定 財産法 損益法
貸借対照表 棚卸法 誘導法

現金主義会計と発生主義会計(損益会計)

収益・費用の認識基準について。いつ収益・費用を計上するか

現金主義会計

  • 従来の考え方
  • 収益は現金収入・費用は現金支出があった時点で認識する
  • 長所:
    • 1.認識が容易
    • 2.客観性・確実性が高い。客観性とは恣意性の介入する余地がないこと。
  • 短所:適正な期間損益計算が図れない
    • 理由①:信用経済の発達
    • 理由②:固定資産の増加

発生主義会計

  • 現在の考え方
  • 収益は価値増加の発生・費用は価値減少の発生に基づいて認識する

現行制度

  • 収益:実現主義
  • 費用:発生主義

収益・費用の測定基準(損益会計)

収支額基準

  • 収益と費用を収入額と支出額で求める基準のこと
  • 過去及び将来の収支額も含める
  • メリット:測定値の客観性の確保、測定結果に信頼性
  • 一致の原則:「全体利益」と「期間利益の合計」が一致すること

収益の認識基準(損益会計)

実現主義

  • 現在、収益の認識は実現主義が原則
  • 要件:
    • ①:企業外部の第三者に対して財貨または用役の提供
    • ②:その対価として現金または現金等価物の受領
  • 長所:
    • ①:客観性、確実性があるので、会計数値の信頼性が確保される
    • ②:分配可能利益の算定に適している
  • 短所:適時性がない
  • 実現主義の例:通常の販売、委託販売割賦販売(原則)

発生主義

  • 長所:適時性がある
  • 短所:客観性、確実性がない未実現損益が計上されてしまう。
  • 現行制度:客観性、確実性が得られる場合のみ適用
    • 例:工事契約(工事進行基準)継続的役務提供契約に未収収益

現金主義

  • 長所:客観性、確実性がある
  • 短所:適時性がない
  • 現行制度における例:割賦販売(例外)

予想される問題

  • 一般原則(7つ)の内容を問う問題
  • 静態論と動態論に関する内容を問う問題
  • 現金主義会計と発生主義会計について問う問題

今日やったこと

  • 財務会計論理論の基本論点
  • 管理会計論材料費の続きの論点
  • 管理会計論労務費の論点
  • 練習問題
  • 復習

明日やること

  • 労務費会計の論点続き
  • 練習問題
  • 財務会計論(計算)の復習