不正リスク、不正リスク対応基準 　(2020年12月3日・監査論)

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不正への対応

不正リスクへの対応

1. 全般的な対応：企業が想定しない要素の組み込みが必須（「誤謬」に対する対応では任意、財務諸表項目に対する対応でも任意）
2. リスク対応手続：より証明力が強く適合性の高い監査証拠を入手
3. 経営者による内部統制を無効化するリスクへの対応：全ての企業に存在。必ず以下の3つは行う
   1. 仕訳入力・修正の適切性の検証：不正は財務報告プロセスにおける操作を伴うことが多い
   2. 会計上の見積りに存在する経営者の偏向の有無
   3. 通常の取引過程から外れた・通例でない重要な取引の事業上の合理性

監査証拠の評価

• 不正による重要な虚偽表示の兆候を示す状況を識別した場合：不正による重要な虚偽表示リスクに関する評価が依然として適切であるかどうかを判断（主に質的な側面を検討）
• 虚偽表示を識別した場合
  1. 不正の兆候があるかどうか判断し、ある場合はステップ2へ
  2. 関与者の地位の考慮、他の監査局面との関係の検討、当該虚偽表示が与える影響の評価
  3. 経営者が関与している場合：経営者の誠実性へ影響する。不正による重要な虚偽表示リスクの評価の見直し、リスク対応手続への影響の再評価。すでに入手した監査証拠の再検討、共謀の可能性の検討
• 経営者確認書の入手
• コミュニケーション
  • 適切な階層の経営者へ、全ての不正
  • 監査役等に、重要な不正（協議も行う）
  • 報告方法：口頭又は書面

不正リスク対応基準

総論

• 対象：上場会社等。法令により準拠が求められている場合、「一般に公正妥当と認められる監査の基準」を構成する
• 対象：重要な虚偽表示と関係のある不正
• 過重な監査手続を求めるものではない
• 不正を摘発すること自体を意図するものではない
• 不正リスク対応基準の構成：①職業的懐疑心の強調②不正リスクに対応した監査の実施③不正リスクに対応した監査事務所の品質管理

職業的懐疑心の強調

• 監査の全過程を通じて：職業的懐疑心を保持
• 不正リスクの評価・監査手続の実施・監査証拠の評価：職業的懐疑心を発揮
• 疑義に対応する監査手続：職業的懐疑心を高める

不正リスクに対応した監査の実施

• 不正事例の理解：不正事例、一般的な取引慣行、産業特有の取引慣行
• 報告の徹底
• 確認：積極的確認の未回答・不十分な回答は慎重に検討、代替的な手続に移行する場合も慎重に検討、会社の関連者のみの情報は慎重に検討
• 不正による重要な虚偽表示を示唆する状況への対応：経営者に質問し説明を求める、追加的な監査手続を実施（兆候を示す状況を識別した場合の対応を含む）。明確に順番は決まっていない
• 不正による重要な虚偽表示の疑義に対する対応：
  • 条件：①示唆する状況について、経営者の説明に合理性がないと判断した場合②不正リスクに関連する十分かつ適切な監査証拠が入手できない場合
  • 監査調書に必ず記載（疑義がある場合も、疑義がない場合も）
  • 経営者確認書の入手を要請するかどうかを検討
  • 審査：より慎重な審査が必要。審査の担当者を追加で選任・会議体を構成することもある（しないこともある）
• 専門家の業務の利用
• 経営者の関与が疑われる不正に対する対応：経営者に問題点の是正等、適切な措置を求める（上場会社等に対してのみ）

不正リスクに対応した監査事務所の品質管理

• 監査事務所の責任：不正リスクに対応できるよう品質管理のシステムを整備及び運用する。不正リスクに対応する品質管理の責任者を明確にする（品質管理のシステムの整備及び運用に責任を有するものが兼任しても異なっても構わない）
• 監査契約の新規締結・更新における不正リスクの考慮：新規締結時は必ず、契約行使時にはリスクの程度に応じて。監査チーム外の適切な部署又は者が行う
• 不正に関する教育・訓練
• 監査事務所外からもたらされる情報への対処：監査責任者は書面で報告
• 専門的な見解の問い合わせ
• 監査責任者間の引き継ぎ：監査実施の責任者が全員交代した場合

今日やったこと

• 監査論の不正リスク、不正リスク対応基準
• 財務会計論（理論）の棚卸資産の評価
• 財務会計論（計算）の資本連結

明日やること

• 監査論の続き
• 管理会計論の復習
• 財務会計論（計算）の連結会計