管理会計論

設備投資の経済性計算その3、原価管理 (2020 年 10 月 9 日・管理会計論)

短答式試験まで 225 日

論文式試験まで 314 日

設備投資の経済性計算の追加論点

耐用年数

  • 経済的耐用年数と法定耐用年数は異なる
  • 減価償却費のタックス・シールドは税法上の耐用年数(法定耐用年数)をベースに計算する必要がある
  • 注意:各期のタックス・シールドだけでなく、売却時の損益も考慮する必要がある
  • 耐用年数が異なる相互排他的投資案の比較:反復投資すると仮定して、各投資案の最小公倍数の期間まで比較する

金融キャッシュ・フローの取り扱い

  • 金融キャッシュ・フローを意思決定に含めない理由
    • 利息のみを含めた計算を行う場合:資本コスト率には利息が含まれており、利息が二重計算となってしまうので、正味現在価値が過小評価されるので、誤った意思決定を行ってしまう可能性がある。
    • すべての金融キャッシュ・フローを含めた計算を行う場合:金融キャッシュ・フローの正味現在価値がプラスになり、正味現在価値が過大評価されるので、誤った意思決定を行ってしまう可能性がある。
  • 金融キャッシュ・フローを含めても問題とならないケース:借入金の利率と加重平均資本コスト率が一致する場合

意思決定と不確実性

  • リスク:不確実な状態のこと
  • リスクの期待値モデル:E = \sigma P_{i}R{i}
  • リスクに応じて評価を引き下げる方法:
    • ①目標回収期間の調整:目標回収期間を短く設定
    • ②リスク調整割引率法:割引率を引き上げる方法
    • ③確実性等価法:確実性等価係数 = \frac{確実なCF}{不確実なCF}

原価管理総論(原価管理)

標準原価管理の役割低下

  • 標準原価管理の前提条件
    • 安定した生産条件(標準の設定が可能)
    • 直接工の作業が中心であること(原価管理の対象が存在すること)
  • 従来:少品種大量生産、技術革新が遅く製品ライフサイクルが長い直接工の作業が中心
  • 現在:多品種少量生産、技術革新が速く製品ライフサイクルは短いFA、CIM
  • 源流管理の必要性:原価の発生額の大半は製品の計画段階で決定するため、源流管理を行う必要が生じた

原価管理の体系

  • 原価計画(Cost Reduction)
    • 原価企画企画・開発段階に行い、生産条件の変更を伴う
    • 原価改善量産段階に行い、生産条件の変更を伴う
  • 原価維持(原価統制、Cost Control):量産段階に行い、生産条件は所与
  • 原価管理の順番:原価企画→原価維持→原価改善企画設計段階における原価企画が重視される

原価企画(原価管理)

原価企画の意義・目的

  • 目的:総合的な原価低減と戦略的な利益管理
  • 総合的な原価低減:各要素を勘案して行われる
    • マーケット・イン
    • 高品質の維持
    • 開発リードタイムの短縮
  • 戦略的な利益管理手段:原価低減を実現することによって、中長期利益計画における目標利益を達成する

原価企画のプロセス

  1. 中長期利益計画
  2. 事業戦略・目標利益・市場評価
  3. 商品企画ゼロルックVE
  4. 目標原価の設定と展開・詳細設計と原価見積
  5. VE改善(ファーストルックVE
  6. 生産準備
  7. 実績評価とフォローアップ(セカンドルックVE

商品企画

  • 原価企画における組織体制
    • 職能横断的(クロス・ファンクション)チームの発足
    • ラクビー方式(オーバーラップ型)の製品開発:開発リードタイム短縮化、顧客ニーズにあった製品開発
    • デザイン・イン:サプライヤーの参加
  • ゼロルックVE顧客が求める機能を把握し、必要な機能を追加、不要な機能を削除し、目標原価を見直していく

目標の設定と展開

  • 原価企画における原価概念:許容原価・成行原価・目標原価
  • 目標原価の設定方法:控除法(許容原価に近い)・積上法(成行原価に近い)・折衷法
  • 目標原価の展開:モノへの展開・ヒトへの展開

詳細設計とVE改善

  • ファーストルックVE:原価見積の結果、目標原価が未達成であれば、VE改善を実施
  • 未達率・価値指数

生産準備

  • 最終の販売価格の決定、生産設備の購入を行い、原価標準を設定→原価維持へ

実績評価とフォローアップ

  • 実績評価:目標原価が本当に達成できているか検討→必要に応じて原価改善セカンドルックVE
  • 販売活動によるフォローアップ

VE(value engineering)

  • VEとは:機能(F)と原価(C)の関係から製品やその構成要素の価値(V)を分析する技法顧客にとっての価値を意味する。
  • V(価値=顧客満足) = \frac{F(機能ないし機能から得られる効用)}{C(原価)}
  • 価値(V)を高める方法:機能を下げるが、それ以上に原価を引き下げる方法は含まれない
  • VE関連の概念:
    • ティア・ダウン(tear down):リバース・エンジニアリング
    • コストテーブル:データベース

予想される問題

  • 不確実性を織り込んだ意思決定
  • 原価管理の理論

今日やったこと

  • 管理会計論の設備投資の経済性計算の続き、原価管理の論点
  • 財務会計論(理論)のセグメント情報、関連当事者、法人税・住民税・及び事業税の論点
  • 管理会計論の復習

明日やること

  • 管理会計論の続きの論点
  • 管理会計論の練習問題
  • 財務会計論の復習
  • 財務会計論(理論)の続きの論点