財務会計論(理論)

事業分離、資産除去債務、包括利益 (2020年10月6日・財務会計論(理論))

短答式試験まで 228 日

論文式試験まで 317 日

事業分離

会計処理の考え方

  • 持分の継続・非継続」(企業結合)と「投資の継続・清算」(事業分離)
  • 投資の清算:移転損益や交換損益を認識する時価が新たな投資原価
  • 投資の継続:移転損益や交換損益を認識しない帳簿価額がそのまま投資原価

分離元企業の会計処理

  • 移転した事業と明らかに異なる資産を対価として受け取る場合:投資が清算
    • 受け取った対価となる財の時価と、移転した事業に係る株主資本相当額の差額をいて損益として認識
  • 分離元企業の継続的関与があり、それが重要である:投資は継続
    • 移転損益を認識せず、株主資本相当額に基づいて算定
    • つまり、投資のリスクからの解法時点で成果を認識するべき
  • 事業分離に要した支出額:発生時の事業年度の費用として処理
  • 移転損益を認識する場合の受取対価となる財の時価:
    • 現金:受け取った現金の額
    • 現金以外:受取対価となる財の時価と移転した事業の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定する
    • 事業分離日の株価を基礎にする
  • 移転損益の表示区分:特別損益

受取対価が現金等の財産のみ

  • 子会社を分離先企業
    • 個別:共通支配下の取引
    • 連結:未実現損益の消去
  • 関連会社を分離先企業
    • 個別:時価で計上、移転損益を認識。投資は清算
    • 連結:未実現損益の消去
  • 子会社・関連会社以外
    • 時価により計上、移転損益として認識。投資の清算

受取対価が分離先企業の株式のみ

  • 子会社を分離先企業
    • 新たに子会社
    • 株式を所有しており、事業分離により子会社
    • 事業分離前より子会社
  • 関連会社を分離先企業
    • 新たに関連会社(事業分離前に株式なし
    • 新たに関連会社(事業分離前に株式あり
    • 追加取得
  • 子会社・関連会社以外

受取対価が現金等の財産と分離先企業の株式

  • 子会社となる場合
  • 関連会社となる場合
  • 子会社・関連会社以外

資産除去債務

概要

  • 除去とは:有形固定資産を用役提供から除外すること。売却、廃棄、リサイクルその他の方法による処分等が含まれる。転用や用途変更は含まれない。遊休状態になる場合は、除去に該当しない
  • 資産除去債務とは:有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるもの

会計処理

  • 将来に不可避的に生じる支出(支払義務)を財務諸表に適切に反映させる
  • 負債計上の時点:発生した時。債務額を合理的に見積ることができるようになった時点。
  • 割引前将来キャッシュフローの算定:自己の支出見積もり。最頻値又は加重平均。処分に至るまでの支出も含める。法人税等の影響額を含めない。
  • 割引率の算定:無リスクの税引前の利率

様々な見解とその論拠

  • 連続意見書
  • 引当金処理
    • 理由①:収益と費用の適切な対応
    • 理由②:本会計基準の会計処理だと、双務未履行であるにもかかわらず、資産負債が両建処理されてしまう
  • 本会計基準(資産負債の両建処理)
    • 理由①:収益と費用の適切な対応
    • 理由②:資産除去債務を計上することによって、将来不可避的に生じる除去に係る債務の金額を適切に財務諸表に反映できる
    • 理由③:資産への投資について回収するべき額が引き上がったという事実を財務諸表に反映できる。当該有形固定資産の稼働にとって不可欠な支出である以上、有形固定資産の取得において不可欠な支出である付随費用を有形固定資産の取得原価に含めていることとの整合性が図れる

その他の論点

  • 割引前将来キャッシュフローの見積もりの変更による調整額に適用する割引率
    • 増加する場合:その時点の割引率を適用する
    • 減少する場合:負債計上時の割引率を適用する

包括利益

概要

  • 包括利益とは:純資産の変動額のうち、持分所有者との直接的な取引によらない部分。
  • その他の包括利益とは:包括利益のうち当期純利益に含まれない部分。親会社株主に係る部分と非支配株主に係る部分が含まれる

包括利益を開示する目的

  • 純資産の変動を報告するとともに、その他の包括利益の内訳項目をより明瞭に開示すること
  • 当期純利益に関する情報と併せて利用することにより、企業活動の成果についての情報の全体的な有用性を高めることも目的としている
  • ①投資家が企業全体の事業活動について検討するのに役立つ
  • ②純資産と包括利益とのクリーンサープラス関係を明示することを通じて、財務諸表の理解可能性と比較可能性を高める

今日やったこと

  • 財務会計論(理論)の事業分離、資産除去債務、包括利益の論点
  • 管理会計論のまとめ
  • 管理会計論の練習問題

明日やること

  • 管理会計論の続きの論点
  • 管理会計論の答案練習
  • 財務会計論の復習