財務会計論(理論)

企業結合 (2020年10月4日・財務会計論(理論))

短答式試験まで 230 日

論文式試験まで 319 日

取得と持分の結合

2つの異なる経済的実態

  • 取得:支配を獲得
  • 持分の結合:支配したとは認められず

取得・持分の結合の会計処理

  • 取得:他の企業の支配を獲得するので、実質的には新規の投資と同じ。よってパーチェス法を適用すべき
  • 持分の結合:支配を獲得したとは合理的に判断できないので、すべての結合当事企業の持分が継続している点で実質的に同種資産同士の交換等の投資の継続性がある取引と同じ。よって、持分プーリング法を適用すべき

持分の継続

  • 一方の持分の継続が絶たれている場合:取得
  • いずれの持分も継続が絶たれていない場合:持分の結合

本会計基準と国際的な会計基準

  • 本会計基準:共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合は、「取得」となる
    • 国際的な会計基準と整合的

取得の会計処理

取得企業の決定方法

  • 基本:連結会計と同様
  • 連結会計の考え方で決まらない場合:
    • 対価が現金等:結合企業が取得企業
    • 対価が株式:基本、結合企業が取得企業だが、逆取得の場合結合企業が被取得企業になる場合も

取得原価の決定方法

  • 基本:取得の対価となる財の企業結合日における時価
    • 現金の場合:現金支出額
    • 現金以外:より高い信頼性をもって測定可能な時価(普通は株式)
  • 取得が複数の取引により達成された場合
    • 個別:原価の合計額
    • 連結:企業結合日における時価(差額は段階取得に係る差益
  • 取得関連費用:発生した事業年度の費用として処理
  • 条件付取得対価の会計処理:(2つの要件を満たす必要あり
    • 将来の業績に依存する場合
    • 株式又は社債の市場価格に依存する場合

取得原価の配分方法

  • 基本:企業結合日時点において識別可能なもの企業結合日時点の時価を基礎として企業結合日以後1年以内に配分
  • 範囲:原則として、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準の下で認識されるものに限定
    • 例外:取得後に発生することが予想される費用又は損失企業結合に係る特定勘定取崩益
  • 無形資産:譲渡可能なものは識別可能として扱う
  • 研究開発費:識別可能性の要件を満たす限り、資産として計上(企業結合の他の資産の取扱いとの整合性を重視)
  • 暫定的に決定した会計処理の確定手続:過去に遡って処理する。(重要な見直しは注記)

のれんの会計処理

  • 規則的な償却を行う(現行)
    • 理由①:費用収益の対応が可能
    • 理由②:のれんは投資原価の一部という性質を重視
    • 理由③:自己創設のれんの計上を防止することが可能
    • 理由④:のれんの価値の減価部分を継続的に把握することは困難かつ煩雑
    • 理由⑤:のれんは構成要素によって分離不能
  • 規則的な償却を行わないべき(IFRS)
    • 理由①:繰延税金資産との類似性
    • 理由②:費用の二重計上
    • 批判①:のれんの価値の減価過程を無視
    • 批判②:のれんを償却しないことは、追加投資による自己創設のれんを計上することと実質的に等しくなってしまう
  • 現行の会計処理:20年以内に定額法その他の合理的な方法により規則的に償却

負ののれんの会計処理

  • 説①:企業結合によって受け入れた費流動資産に負ののれんを比例的に配分し、残額が生じれば繰延利益若しくは発生時の利益として処理
    • 理由:負ののれんの発生原因を、識別可能資産の取得原価を決定する上での不備とみなし、測定を誤る可能性の高い資産から比例的に控除することが妥当
  • 説②:全額を認識不能な項目やバーゲン・パーチェスとみなし発生時に利益計上する方法
    • 理由:識別可能資産の時価の算定が適切に行われていることを前提にし、異常利益としての処理が妥当。時価の算定を適切に行うインセンティブになるという効果もある
  • 説③:正の値であるのれんの会計処理方法との対称性を重視し、規則的な償却を行う方法
  • 国際的な会計基準:のれんはキャッシュの獲得に貢献する経済的資源であるため、資産として計上すべき要件を満たすが、負ののれんは経済的資源を引き渡す義務ではない以上、負債として計上すべき要件を満たさない
  • 本会計基準:
    • ステップ1:識別可能資産・負債の見直し
    • ステップ2:負ののれんを事業年度の利益として処理
    • 重要性が乏しい場合、ステップ1は省略可能

逆取得

  • 逆取得とは:株式を交付した企業が取得企業とならない企業結合
  • 個別上の処理
  • 連結上の処理
  • 吸収合併の場合
  • 株式交換の場合

共同支配企業の形成

共同支配企業の形成の判定(4条件)

  1. 複数の独立した企業から構成
  2. 共同支配企業となる契約等を締結
  3. 議決権のある株式
  4. 支配関係を示す一定の事実が存在しない

会計処理

  • 持分の結合に該当し、パーチェス法は適用しない
  • 共同支配企業側:適正な帳簿価額により計上
  • 共同支配投資企業側:
    • 個別上:株主資本相当額に基づいて算定(投資は継続)
    • 連結上:持分法を適用

共通支配下の取引

個別財務諸表上の会計処理

  • 資産・負債:原則として、移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上
    • 適正な帳簿価額とは:連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む)
  • 差額:純資産として処理
  • 交付された株式の取得原価:当該資産及び節あの適正な帳簿価額に基づいて算定

非支配株主との取引

  • 個別財務諸表上は外部取引→非支配株主から追加取得する場合、時価で算定
  • 連結財務諸表上:連結会計基準と同様

開示

  • のれん:無形固定資産
  • のれん償却額:販管費
  • 負ののれん:特別利益

今日やったこと

  • 管理会計論の答案練習
  • 財務会計論(理論)の続きの論点
  • 財務会計論(理論)の復習

明日やること

  • 管理会計論の続きの論点
  • 管理会計論のまとめ、練習問題
  • 財務会計論(理論)の企業結合の論点の復習