財務会計論(理論)

金融商品・減損 (2020年9月17日・財務会計論(理論))

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金融商品の消滅に関するその他の論点(金融商品)

ローン・パーティシペーション

  • 債権流動化の手法
  • 原則法:法的に債権譲渡とみなすことはできない(債権の消滅を認識しない
  • 容認:一定の要件(ほとんどすべてのリスクと経済的利益=リスク・経済価値アプローチ)を満たせば、債権の消滅を認識できる

デット・アサンプション

  • 原則法:消滅を認識しない
  • 容認:社債の発行者に対し遡及請求が行われる可能性が極めて低い場合に限り、消滅を認識できる

デット・エクイティスワップ

  • 消滅を認識し対価との差額は当期の損益
  • 株式の取得時の時価が対価となる

減損会計総論

固定資産の減損とは

  • 資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態
  • 減損処理とは、回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理である
  • 事業用資産の過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないために行われる会計処理

減損処理と金融商品の時価評価の違い

  • 減損処理は、取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額

減損処理と臨時償却

  • 共通点:
    • 取得原価基準
    • 将来に損失を繰り延べないために行われる会計処理
  • 相違点
    • 臨時償却は収益性の低下を帳簿価額に反映させること自体を目的としている処理ではない
    • 臨時償却は前期損益修正、減損損失は臨時損失

減損会計の対象資産

  • 固定資産を対象に適用する(例:建設仮勘定、のれん、長期前払費用、自社利用のソフトウェア、投資不動産、ファイナンス・リース取引によりリース資産)
  • 例外:金融商品、繰延税金資産、前払年金費用、市場販売目的のソフトウェア

資産のグルーピング

グルーピングの方法

  • キャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行う
  • 理由:利益操作を防止し、企業間の比較可能性を保つ

グルーピングの見直し

  • 連結の見地から、グルーピングを見直すことが可能

減損損失の配分

  • 資産グループの各構成資産に配分

減損の兆候

  • 減損の兆候がある場合、当該資産又は資産グループについて、減損損失を認識するかどうかの判定を行う
  • 理由:対象資産すべてで判定を行うと過大な負担となるから

減損損失の認識の判定

判定方法

  • 割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合、減損損失を認識
  • 測定が主観的にならざるを得ない
  • 減損の存在が相当程度に確実な場合に限って減損損失を認識

見積年限

  • 経済的耐用年数もしくは20年のいずれか短い方

減損損失の測定

測定方法

  • 回収可能価額まで減額
  • 回収可能価額は、正味売却価値と使用価値のいずれか高い方
  • 正味売却価値:時価から処分費用見込額を控除
  • 使用価値:将来キャッシュ・フローの現在価値
    • 見積価値から乖離するリスクを反映させる(①見積に反映②割引率に反映)
    • 注意:減損損失の認識の判定時の割引前将来キャッシュ・フロー算定時は、乖離リスクは反映させない

本会計基準が想定している理論的な減損会計

  • 現行の処理方法だと、過年度の減価償却の遅れが原因となっているものも減損を認識してしまうことがある
  • 本来は、過年度の減価償却などを考慮しない期末の帳簿価額を用いるのは妥当ではない

将来キャッシュ・フローの見積

算定における注意事項

  • 将来キャッシュ・フローは、企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて見積もる
  • 現時点の回収可能性を反映する
  • 遊休資産も見積に含める
  • 設備投資も見積もりに含める
  • 間接的な支出は控除
  • 利息、法人税等は見積もりに含めない

見積方法

  1. 最頻値
  2. 期待値
  • いずれの方法も適用できる(選択適用)

共用資産とのれん

共用資産

  • 原則:より大きな単位でグルーピング
  • 例外:共用資産の帳簿価額を配分(共用資産自体に減損がなくても、資産グループに減損がある場合には共用資産にも配分)

のれん

  • のれんの帳簿価額の分割時価その他の合理的な方法
  • 原則:より大きな単位でグルーピング
  • 例外:のれんの帳簿価額を配分

減損処理後の会計処理、財務諸表の表示

減損損失の戻入

  • 行わない
    • 理由①:そもそも相当程度確実な場合に限って減損損失を認識及び測定している
    • 理由②:事務的負担を増大させるおそれがある

貸借対照表における表示

  • 原則法:控除後の金額をその後の取得原価とする
  • 例外法:間接控除する

損益計算書における表示

  • 特別損失として処理

減損会計の国際的比較

減損損失の測定 減損損失の戻入れ 減損後の減価償却
日本 回収可能価額 行わない 行う
アメリカ(FASB) 時価 行わない 行う
IFRS 回収可能価額 行う 行わないとも考えられる

今日やったこと

  • 財務会計論(理論)の金融商品の論点の続き

明日やること

  • 財務会計論(計算)の事業分離の復習
  • 管理会計論の標準原価計算の続きの論点
  • 財務会計論(理論)の棚卸資産、持分法、連結税効果の論点