短答式試験まで 211 日
論文式試験まで 300 日
目次
株主総会の招集
招集手続の省略
- 株主の全員の同意があるときは、招集の手続きを経ることなく開催することができる
- 認められれない場合:書面投票または電子投票による議決権行使を認める旨を定めている場合
- 注意:全員が同意している必要があるだけで、全員が出席している必要はない
全員出席総会
- 判例
- 株主全員がその開催に同意して出席した株主総会においてなされた決議は有効に成立する
株主提案権
意義
- 議題提案権、議案提案権、議案通知請求権の3つの権利のこと
- 趣旨:株主総会の活性化を図ること
議題提案権
- 一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる権利
- 持株要件・行使方法:
- 公開会社(取締役会設置が前提):総株主の議決権の100分の1(定款で緩和可)以上の議決権または300個(定款で緩和可)以上の議決権を6ヶ月前から継続して保有する株主は、株主総会の日の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。
- 非公開会社(取締役会設置会社):6ヶ月の保有期間要件は不要
- 取締役会非設置会社:単独株主権であり、8週間前に請求しなければいけないという要件はない(趣旨:権利が濫用的に行使されるおそれが少ない)
議案提案権
- 株主が、株主総会の議題につき議案を提出することができる権利
- 持株要件:すべての株式会社において単独株主権
- 認められない場合:法令もしくは定款に違反する場合、実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合
議案通知請求権
- 株主が、取締役に対し、株主総会の議題につき当該株主が提出しようとする議案の要項を株主に通知することを請求することができる権利
- 持株要件・行使方法
- 公開会社(取締役会設置が前提):総株主の議決権の100分の1(定款で緩和可)以上の議決権または300個(定款で緩和可)以上の議決権を6ヶ月前から継続して保有する株主は、株主総会の日の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。
- 非公開会社(取締役会設置会社):6ヶ月の保有期間要件は不要
- 取締役会非設置会社:単独株主権であり、8週間前に請求しなければいけないという要件はある。
- 認められない場合:法令もしくは定款に違反する場合、実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合
1株1議決権の原則の例外
- 議決権制限株式
- 自己株式
- 相互保有株式:総株主の議決権の4分の1以上を有する株式会社が、その経営の実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主は、株主総会において議決権を有しない。(趣旨:議決権行使の歪曲化、資本の空洞化)
- 単元未満株式
- 取締役等選任権付種類株式
- 自己株式の売主となる株主
- 基準日後に発行された株式
議決権の行使方法
前提
- 議決権は、株主が実際に株主総会に出席して、自らの全議決権を統一的に行使するのが原則である
議決権の代理行使
- 代理行使の方法
- 代理権を証明する書面の提供:代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない
- 電磁的方法により代理権を授与することもできる
- 代理権行使書面の備置、閲覧・謄写:3ヶ月間、株主はいつでも
- 代理人の数の制限:制限することができる
- 代理行使を定款により禁止することはできない
- 代理人資格を株主に限定する定款規定の効力
- 結論:有効ではあるが、当該定款の効力が及ばない場合がある
- 効力が及ばない場合:法人株主が使用人を代理人とした場合
書面による議決権の行使
- 適用:原則、任意
- 強制される場合:株主の数が1,000人以上である株式会社は、原則として、書面投票制度の採用が強制される
- 例外もある
- 議決権の行使は定足数に組み入れられる
- 議決権行使書面の備置、閲覧・謄写:3ヶ月間、株主はいつでも
電磁的方法による議決権の行使
- 適用:強制されることはない
- 議決権の行使は定足数に組み入れられる
- 議決権行使書面の備置、閲覧・謄写:3ヶ月間、株主はいつでも
議決権の不統一行使
- 株主は、その有する議決権を統一しないで行使することができる
- 株式会社は、議決権を不統一行使しようとする株主が他人のために株式を有する者でないときは、その不統一行使を拒むことができる
- 事前の通知:取締役会設置会社においては、株主は株主総会の3日前までに、取締役会設置会社に対して、議決権の不統一行使をする旨およびその理由を通知しなければならない
株主総会の議事運営
議長
- 選任:特に規定なし
- 権限:当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する権限を有し、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる
取締役等の説明義務
- 取締役、会計参与、監査役および執行役にある
- 拒絶することができる場合
- 1.議題に関しないものである場合
- 2.株主の共同の利益を著しく害する場合
- 3.法務省令に定める場合
総会検査役
- 趣旨:株主総会の手続の適法性を調査するための手段を与える
- 請求権者:株式会社、総株主の議決権の100分の1(定款で緩和可)以上の議決権を6ヶ月前(非公開会社の場合は不要)から継続して保有する株主
調査者
- 株主総会に提出された資料を調査する者の選任:株主総会の決議
- 株式会社の業務および財産の状況を調査する者の選任:株主による招集請求の規定により招集された株主総会において、その決議による
株主総会の議事録
- 議事録は作成しなければならない
- 備置:10年間本店、5年間支店
- 閲覧・謄写:株主および債権者は、いつでも。親会社社員は、裁判所の許可を得て
株主総会の延期・続行
- 延期・続行の決議があった場合、株主総会の招集の決定および株主総会の招集通知の規定は適用されない
利益供与の禁止
総会屋とは
- 株主としての権利を濫用して、株式会社から不当な利益を得ることを目的とする者
利益供与の禁止
- 株式会社は何人に対しても、株主の権利の行使に関し、当該株式会社またはその子会社の計算において、財産上の利益の供与をしてはならない。
- 趣旨:会社財産の浪費を防止。総会屋を排除し、会社運営の健全化を図る
- 禁止の対象
- 「株主の権利の行使に関し」:積極的行使、消極的行使のどちらも含む
- 利益供与の主体:株式会社またはその子会社の計算において行われたものであれば、何人の名義で行われようと禁止の対象となる。
- 利益供与の相手方:何人に対しても。(株主以外も対象)
- 利益供与の推定規定:
- 対価が無償:特定の株主に対して無償で財産を提供したとき、財産上の利益の供与と推定する
- 対価が有償:特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において、当該株式会社またはその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比べて著しく少ないときは財産上の利益の供与と推定する。
- 利益供与を受けた者の利益返還義務:返還しなければならない
- 責任追及等の訴えの対象となる
- 取締役・執行役の利益相当額支払責任:
- 利益供与をした取締役・執行役:無過失責任
- 利益供与に関与した取締役・執行役:注意を怠らなかったことを証明した場合、当該支払責任を追わない。(立証責任が転換された過失責任)
- 子会社の計算による利益供与がなされた場合の取締役・執行役の支払責任:親会社に対して支払責任を負うが、当該子会社に対しては支払責任を負わない。
- 免除の制限:総株主の同意がなければ免除することができない
従業員持株制度との関係
- 従業員持株制度とは:会社が従業員に奨励金を支給し、自社株式を取得させる制度
- 問題の所在:奨励金の支給がすでに株式を有している従業員に対してなされる場合、利益供与の推定を受ける。そのため、その支給が株主の権利の行使に関するものでないことを立証する必要がある
- 結論:福利厚生の一環等であることを立証できれば、株主の権利の行使に関するものでないことを立証することができる。
株主総会の決議
決議できる事項
- 取締役設置会社:招集事項として定めた株主総会の目的である事項以外の事項については、決議することができない
- 例外:株主総会に提出された資料を調査する者の選任、株式会社の業務および財産の状況を調査する者の選任、定時株主総会において会計監査人の出席を求めることは、事前に議題とされていなくても決議することができる
特別決議
- 全部取得条項付種類株式の取得
- 株式の併合
- 監査等委員である取締役または監査役の解任
- 資本金の額の減少
- 定款の変更
- 頭数要件を加えることもできる
株主総会の決議・報告の省略
- 決議の省略:株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる(一般的に書面決議という)
- 備置、閲覧・謄写:10年間、本店。株主および債権者は、いつでも。親会社社員は、裁判所の許可を得て
- 報告の省略:取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなされる。
多数決原理と限界・修正
- 少数派株主保護の必要性:多数派株主が少数派株主の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を追求するおそれがある。
- 多数決の限界:一定の場合には、多数決原理により成立した決議を無効とすること
- 例:株主平等原則等の強行法規に反する決議
- 多数決の修正:少数派株主の利益を何らかの形で保護すること
- 例:反対株主の株式買取請求
今日やったこと
- 企業法の続き
- 財務会計論(計算)の企業結合・事業分離の復習
- 管理会計論の練習問題
- 財務会計論(理論)の問題集
明日やること
- 企業法の続き
- 財務会計論(計算)の練習問題
- 管理会計論の練習問題
- 財務会計論(理論)の問題集