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目次
株主総会の決議の瑕疵
種類
- 決議取消しの訴え
- 決議無効確認の訴え
- 決議不存在確認の訴え
決議取消しの訴え
- 決議取消事由
- 1.招集手続または決議方法が法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正な場合
- 2.決議の内容が定款に違反する場合
- 3.決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされた場合
- 特別利害関係:株主としての資格と関係のない利害関係を有する株主のこと。原則として議決権の行使を許容している(例外:自己株式の売主)が、著しく不当な決議が行われた場合には決議取消事由となる
- 提訴期間経過後の新たな取消事由の追加(判例):できない(理由:可能な限り、早期に決議の効力を確定したい)
- 株主等とは:
- 監査役設置会社:株主、取締役、監査役、清算人
- 指名委員会等設置会社:株主、取締役、執行役、清算人
- それ以外:株主、取締役、清算人
- 注意:会計参与、会計監査人、使用人、債権者は含まれない。監査役の範囲を会計に関するものに限定する場合の監査役は株主等に含まれない。
- 他の株主に対する瑕疵を主張できるか(判例):できる(理由:その瑕疵に公正な決議の成立が妨げられたかもしれないという意味での抗議を認める)
- 決議の取消しにより役員等となる者:決議の取消しを主張することができる。
- 議案を否決する決議取消の訴え:不適法である
- 決議取消裁判が遡及効とされる理由:将来効とすると、判決の確定前に決議に従ってある一定の行為がなされている場合に、当該行為の効力を否定することができなくなる。当該決議を前提としてなされた行為の効力は、個別に解釈するという形式を採用。
- 決議が成立したという外観を信頼した第三者の保護:不実登記の効力に関する規定、表見代表取締役などの第三者保護に関する法理によって保護するべき
- 裁量棄却とは:招集手続または決議方法が法令または定款に違反するときであっても、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるとき。(趣旨:軽微な瑕疵であることが多く、決議をやり直しても同じ結果が予想されるため)
決議無効確認の訴え
- 瑕疵が重大であり、当該決議は当然に無効
- 決議無効事由:決議の内容が法令に違反する場合
- 具体例:違法な内容の計算書類の承認決議、株主平等原則に違反する決議、欠格事由のある者を取締役等に選任する決議
- 訴訟権者・訴訟期間:制限なし
- 効力:第三者に対してもその効力を有する(対世的効力)。はじめから当該決議は無効である(確認訴訟)
決議不存在確認の訴え
- 瑕疵が重大
- 決議不存在事由:決議の事実自体が存在しない場合、法的に決議として評価することができない場合
- 具体例:取締役会設置会社において平取締役が取締役会の決議に基づかないで株主総会を招集した場合、招集通知もれが著しい場合
- 決議取消事由との関係
- 招集通知漏れ
- 取締役会設置会社において取締役会の決議に基づかないで株主総会を招集した場合(代表取締役、平取締役)
- 訴訟権者・訴訟期間:制限なし
- 効力:第三者に対してもその効力を有する(対世的効力)。はじめから当該決議は存在しない(確認訴訟)
種類株主総会
ある種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合
- 次に掲げる事項をする場合において(14個)、ある種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、種類株主総会の決議(特別決議)がなければ、その効力は生じない。
定款による種類株主総会の排除
- ある種類株式の内容として、ある種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会の決議を不要とする旨を定款で定めることができる。(ただし、要件として種類株主全員の同意が必要)
- 定款によって種類株主総会決議を排除することができない行為
- 株式の種類の追加
- 株式の内容の変更
- 発行可能株式総数または発行可能種類株式総数の増加に関する定款変更(単元株式数に関する定款変更を除く)
- 反対株主の株式買取請求権:定款による種類株主総会の排除の定めがあるものに限る
種類株主総会の決議
- 普通決議:種類株式の総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。定足数の要件は、定款で完全に排除することができる。普通の株主総会と同じ
- 特別決議:種類株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない。頭数要件を加重可。普通の株主総会と同じ
- 特殊決議:種類株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(頭数要件)であって、かつ、その株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない。(309条3項と同じ)
株主総会の規定の準用
- 代理行使、書面・電子投票、決議の省略などは同じ
- 株主総会の権限、株主総会の招集および株主総会の決議に関する規定は準用されない
役員・会計監査人の選任・解任
役員とは
- 取締役、監査役、会計参与
取締役
- 欠格事由:法人、成年被後見人もしくは被保佐人、法律違反者。(未成年者はなることができる)
社外取締役
- 定義:
- 当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役等でなく、かつ、その就任の前10年間当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと→業務執行者に限られ、過去要件あり
- 就任の前10年間、当該株式会社またはその子会社の、取締役、会計参与、監査役で、その前10年間に業務執行取締役等であったことがないこと→業務執行者に限られ過去要件あり
- 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る)または親会社等の取締役もしくは執行役もしくは支配人その他の使用人でないこと→業務執行者に限られず、過去要件もない
- 親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く)の業務執行取締役等でないこと→業務執行者に限られ、過去要件なし
- 親族
- 趣旨:業務執行者に対する監督の実効性を高める
- 社外取締役の機能:経営全般の監督機能、利益相反の監督機能
- 社外取締役の設置義務:
- 監査等委員会設置会社:監査等委員である取締役は、3人以上で、その過半数は社外取締役でなければならない
- 指名委員会等設置会社:各委員会の過半数は、社外取締役でなければならない
- 社外取締役を置くことが相当でない理由の開示:監査役会設置会社(公開大会社にであるものに限る)であって金融商品取引業者4条1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものが社外取締役を置いていない場合、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない。
会計参与
- 兼任禁止
- 株式会社または子会社の取締役、監査役、執行役または支配人その他の使用人は、会計参与となることができない
- 会計参与は親会社の監査役を兼ねることができない
- 会計参与は親会社の監査等委員である取締役および監査委員を兼ねることができない
- 趣旨:業務執行からの独立性、自己監査の防止
監査役
- 兼任禁止
- 株式会社またはその子会社の取締役、支配人その他の使用人を兼ねることができない
- 株式会社の子会社の会計参与または執行役も兼ねることができない
- 当該株式会社の会計参与になることもできない
- 親会社の会計参与になることもできない(理由は特になし)
- 趣旨:業務執行からの独立性、自己監査の防止
会計監査人
- 公認会計士法による
社外監査役
- 定義:
- その就任の前10年間当該株式会社またはその子会社の取締役、会計参与もしくは執行役または支配人その他の使用人であったことがないこと→業務執行者に限られず、そもそも兼任禁止
- 就任の前10年間、当該株式会社またはその子会社の監査役で、その前10年間に取締役、会計参与もしくは執行役または支配人その他の使用人であったことがないこと→過去要件あり
- 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る)または親会社等の取締役もしくは執行役もしくは支配人その他の使用人でないこと→業務執行者に限られず、過去要件もない
- 親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く)の業務執行取締役等でないこと→業務執行者に限られ、過去要件なし
- 親族
選任
- 補欠役員:選任することができる
- 累積投票制度(取締役のみ):
- 趣旨:少数株主の地位を強化
- 定款による排除:できる
- 取締役等先任権付種類株式を発行している場合:取締役・監査役は種類株主総会の決議(普通決議)によって選任される
- 会計監査人:株主総会の普通決議によって選任
- 定足数の要件:完全に排除できる
- 補欠:選任できない
今日やったこと
- 企業法の続き
- 財務会計論(計算)の退職給付会計の練習問題
- 管理会計論の予算実績差異分析の練習問題
- 財務会計論(理論)の問題集
明日やること
- 企業法の続き
- 企業法の問題集
- 財務会計論(理論)の問題集