企業法

組織再編行為等  (2020年11月11日・企業法)

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総論

種類

  • 合併
    • 吸収合併
    • 新設合併
  • 分割
    • 吸収分割
    • 新設分割
  • 株式交換・株式移転
  • 株式交付
  • 組織変更

合併

  • 当事会社:会社の種類を問わず自由
  • 消滅会社:解散精算手続は不要
  • 存続会社:消滅会社の権利・義務を包括的に継承
  • 対価:株主または社員に対して交付
  • 株主の保護:
    • 存続会社:会社組織に重大な変更存続会社の持株割合が変動
    • 消滅会社:会社が消滅地位に重大な変更
  • 債権の保護:
    • 存続会社:存続会社の債務が増加債権の回収が困難になる可能性
    • 消滅会社:債権者が消滅会社から存続会社または設立会社へ交代

会社分割

  • 当事会社
    • 承継会社・設立会社:会社の種類を問わず自由
    • 消滅会社:株式会社合同会社のみ
  • 分割会社:解散や消滅はない
  • 承継会社:包括的に継承
  • 対価:分割会社に対して交付(物的分割)
  • 株主の保護:
    • 承継会社:会社組織に重大な変更承継会社の持株割合が変動
    • 分割会社:会社組織に重大な変更
  • 債権の保護:
    • 承継会社:承継会社の債務が増加債権の回収が困難になる可能性
    • 分割会社:債権者が分割会社から承継会社または設立会社へ交代

株式交換

  • 当事会社
    • 完全親会社:株式会社合同会社のみ
    • 完全子会社:株式会社
  • 対価:株主に対して交付
  • 株主の保護:
    • 完全親会社:完全親会社の持株割合が変動
    • 完全子会社:完全親会社の株主または社員として収容、地位に重大な変動が生じる
  • 債権の保護:一定の場合を除き、債権者異議手続はない
    • 完全親会社:株式・持分のみが対価として交付される場合、会社財産の変動が生じることはない
    • 完全子会社:株主構成が変動するだけ

株式移転

  • 当事会社:株式会社のみ
  • 対価:株主に対して交付
  • 株主の保護:
    • 完全子会社:完全親会社の株主または社員として収容、地位に重大な変動が生じる
  • 債権の保護:一定の場合をの除き、債権者異議手続はない
    • 完全子会社:株主構成が変動するだけ

株式交付

  • 当時会社(株式交付親会社):株式会社のみ
    • 注意:株式交付子会社は当時会社ではない
  • 対価:株式を交付する必要がある株主に対して交付
  • 株主の保護:
    • 株式交付親会社:株式交付親会社の持株割合が変動
  • 債権者の保護:一定の場合の除き、債権者異議手続はない
    • 完全子会社:株主構成が変動するだけ

吸収型再編

手続

  1. 契約の締結
  2. 事前開示:効力発生日後6ヶ月
  3. 契約の承認、株式買取請求の手続、新株予約権買取請求の手続、債権者異議手続(株式交換のときは不要)
  4. 効力発生
  5. 事後開示
  6. 登記(株式交換のときは不要)

消滅会社等の承認手続

  • 原則:株主総会の特別決議
  • 吸収合併・株式交換の例外
    • 種類株式発行会社でない公開会社で、対価が譲渡制限株式株主総会の特殊決議
    • 種類株式発行会社で、譲渡制限株式を有していない株式の対価が譲渡制限株式種類株主総会の特殊決議
    • 対価が持分会社の持分:(種類総株主の全員の同意
    • 略式合併・略式株式交換株主総会決議は不要(種類株式発行会社でない公開会社の場合、対価が譲渡制限株式のときは省略不可)
  • 吸収分割の例外
    • 略式吸収分割・簡易吸収分割株主総会決議は不要

存続会社等の承認手続

  • 原則:株主総会の特別決議
  • 例外①:略式組織再編行為・簡易組織再編行為
    • 株主総会は不要
    • 例外の例外①:簡易組織再編行為において一定の数の株式を有する株主の反対
    • 例外の例外②:存続株式会社等が非公開会社で存続株式会社の株式を交付する場合
    • 例外の例外③:簡易組織再編行為において合併差損分割差損株式交換差損が生じる場合
  • 例外②:存続株式会社等が種類株式発行会社であり譲渡制限株式を対価として発行する場合:種類株主総会の特別決議
  • 取締役の説明義務:
    • 合併差損分割差損株式交換差損が生じる場合
    • 承継する資産に自己株式が含まれている場合

新設型再編

手続

  1. 合併契約の終結、新設分割計画・株式移転計画の作成
  2. 事前開示
  3. 契約・計画の承認、株式買取請求の手続、新株予約権買取請求の手続、債権者異議手続(株式移転の場合は不要)
  4. 登記
  5. 事後開示

消滅会社等の承認手続

  • 原則:株主総会の特別決議
  • 新設合併の例外
    • 種類株式発行会社でない公開会社で、対価が譲渡制限株式株主総会の特殊決議
    • 種類株式発行会社で、譲渡制限株式を有していない株式の対価が譲渡制限株式種類株主総会の特殊決議
    • 新設合併設立会社が持分会社総株主の全員の同意
  • 吸収分割の例外
    • 簡易新設分割株主総会決議は不要
  • 株式交換の例外
    • 種類株式発行会社でない公開会社で、対価が譲渡制限株式株主総会の特殊決議
    • 種類株式発行会社で、譲渡制限株式を有していない株式の対価が譲渡制限株式種類株主総会の特殊決議

株式交付

手続(株式交付親会社のみ)

  1. 株式交付計画の作成(契約の締結なし)
  2. 事前開示:効力発生日後6ヶ月
  3. 株式交付計画の承認、債権者異議手続、株式取得のための手続き
  4. 効力発生
  5. 事後開示(登記不要

株式交付親会社の承認手続

  • 原則:株主総会の特別決議
  • 例外①:簡易組織再編行為(略式組織再編行為はない)
    • 株主総会は不要
    • 例外の例外①:一定の数の株式を有する株主の反対
    • 例外の例外②:株式交付親会社が非公開会社
    • 例外の例外③:株式交換差損が生じる場合
  • 例外②:株式交付親会社が種類株式発行会社であり譲渡制限株式を対価として発行する場合:種類株主総会の特別決議
  • 取締役の説明義務:
    • 株式交付差損が生じる場合(自己株式が含まれる場合の規定なし)

手続

比較

事前開示

  • 備置
    • 吸収型再編消滅会社等:効力発生日後6ヶ月吸収合併消滅会社は効力発生日
    • 吸収型再編存続会社等:効力発生日後6ヶ月
    • 新設型再編消滅会社等:成立の日後6ヶ月新設合併消滅株式会社は成立の日
    • 株式交付親会社:効力発生日後6か月
  • 閲覧・交付請求権
    • 株式交付:株主(一定の場合には債権者も)
合併・分割 交換・移転
吸収型再編消滅会社等 株主および債権者(新株予約権者を含む) 株主および新株予約権者
吸収型再編存続会社等 株主および債権者(新株予約権者を含まず) 株主(一定の場合には債権者も)
新設型再編消滅会社等 株主および債権者(新株予約権者を含む) 株主および新株予約権者

差止請求

  • 吸収型再編消滅会社等:
    • ①法令・定款違反
    • ②略式吸収合併等の対価が著しく不当
    • ③簡易吸収分割は例外なく請求できない
  • 吸収型再編存続会社等:
    • ①法令・定款違反
    • ②略式吸収合併等の対価が著しく不当
    • ③簡易組織再編行為は分割は請求できない(合併差損等が生じる、非公開会社が株式を対価とする場合、一定の株主の反対がある場合は例外)
  • 新設型再編消滅会社等:
    • ①法令・定款違反
    • ③簡易吸収分割は例外なく請求できない
    • 略式再編行為はそもそもあり得ない
  • 株式交付親会社:
    • ①法令・定款違反
    • ③簡易株式交付は例外なく請求できない
    • 略式株式交付はそもそもありえない

反対株主の株式買取請求

  • 認められない場合
    • 吸収型再編消滅会社等:①種類株式発行会社でなく、対価が持分会社の持分簡易吸収分割
    • 吸収型再編存続会社等:簡易組織再編行為の要件を満たす場合
    • 新設型再編消滅会社等:①新設合併設立会社が持分会社である場合簡易新設分割
    • 株式交付親会社:簡易株式交付の要件を満たす場合
  • 反対株主:①反対する旨を通知し、決議に反対した株主議決権を行使できない株主
    • 吸収型再編消滅会社等、吸収型再編存続会社等:略式組織再編行為等において特別支配会社を除いてすべての株主
  • 撤回制限:すべての場合において、承諾を得なければ行けない

新株予約権買取請求

  • 吸収型再編消滅会社等:話と違う場合
  • 吸収型再編存続会社等:そもそもなし
  • 新設型再編消滅会社等:話と違う場合
  • 株式交付親会社、子会社:そもそもなし

債権者異議手続

  • 異議を述べることができる場合
    • 株式交付親会社:対価の財産額が対価総額の20分の1を超える場合
合併 分割 交換・移転
吸収型再編消滅会社等 すべての債権者 分割会社に対して債務の履行を請求できなくなる債権者・人的分割行為をする場合 株式交換契約新株予約権が新株予約権社債
吸収型再編存続会社等 すべての債権者 すべての債権者 対価の財産額が対価総額の20分の1を超える場合株式交換契約新株予約権が新株予約権社債
新設型再編消滅会社等 すべての債権者 分割会社に対して債務の履行を請求できなくなる債権者・人的分割行為をする場合 株式交換契約新株予約権が新株予約権社債
  • 債権者に対する公告・催告:基本的に共通
    • 原則:官報に公告、各別に催告
    • 二重公告の例外:各別の催告は必要なし
    • 不法行為によって生じた吸収・新設分割株式会社二重公告の例外が適用されない

効力発生

  • 吸収型再編、株式交付:効力発生日
  • 新設型再編:設立会社の成立の日

事後開示

  • 備置
    • 吸収型再編消滅会社等:効力発生日後6ヶ月吸収合併消滅会社はすでに消滅
    • 吸収型再編存続会社等:効力発生日後6ヶ月
    • 新設型再編消滅会社等:成立の日後6ヶ月新設合併消滅株式会社はすでに消滅
    • 株式交付親会社:効力発生日後6か月
  • 閲覧・交付請求権
    • 株式交付親会社:株主(一定の場合には債権者も)
合併 分割 交換・移転
吸収型再編消滅会社等 すでに消滅 株主および債権者その他の利害関係人 株主および新株予約権者であった者
吸収型再編存続会社等 株主および債権者 株主および債権者その他の利害関係人 株主(一定の場合には債権者も)
新設型再編消滅会社等 すでに消滅 株主および債権者その他の利害関係人 株主および新株予約権者であった者
新設型再編設立会社等 株主および債権者 株主および債権者その他の利害関係人 株主および新株予約権者

組織変更

総論

  • 株式会社⇔持株会社
  • 株主または社員全員の保護が必要

組織変更の手続

  • 株式会社を持分会社にする場合:
    • 備置:効力発生日まで
    • 閲覧・交付請求:株主、債権者(新株予約権者含む)
    • 承認:総株主
    • 新株予約権買取請求:すべての新株予約権者
    • 債権者異議手続:すべての債権者
    • 公告・催告:いつもどおり
    • 効力発生:効力発生日
  • 持分会社を株式会社にする場合
    • 承認:総社員の同意
    • 債権者異議手続:二重公告による省略が認められるのは、合同会社のみ
    • 効力発生:効力発生日

今日やったこと

  • 企業法(組織再編行為)
  • 企業法の問題集

明日やること

  • 企業法の組織再編行為のまとめ、復習
  • 企業法の問題集
  • 企業法の続き
  • 財務会計論(分配可能額)の復習