企業法

機関その6  (2020年10月27日・企業法)

短答式試験まで 207 日

論文式試験まで 296 日

取締役の義務と報酬

善管注意義務と忠実義務

  • 善管注意義務と忠実義務の関係:内容は異ならない
    • 理由1:善管注意義務以上の厳格な責任を負わせるべきではない
    • 理由2:利益衝突防止のための規定や特別の責任が法定されており、それ以外に新たな義務を課す必要はない
  • 利益衝突についての特別の定め:競業避止義務利益相反取引の制限取締役の報酬の規定

競業避止義務

  • 趣旨:株式会社の利益の保護を図る
  • 規制の対象:
    • 自己または第三者のために:計算説、「自己または第三者の計算において」、権利義務の帰属よりも経済的利益の帰属が問題となる
    • 株式会社の事業の部類に属する取引:定款所定の目的たる事業、付帯事業・補助的行為、取締役への就任
  • 競業取引の承認
    • 取締役会設置会社:事前の承認、事後の報告
    • 取締役会非設置会社:事前の承認
    • 包括的承認の可否
  • 競業取引の効力:善意・悪意を問わず有効
  • 取締役の責任
    • 任務懈怠責任:承認の有無に関わらない
    • 損害額の推定規定:会社の承認を得ずに、取締役または第三者が得た利益の額は、株式会社に生じた損害の額と推定される

利益相反取引の制限

  • 趣旨:株式会社の利益の保護を図る
  • 規制の対象:直接取引間接取引
  • 利益相反取引の承認:競業避止義務と同様
    • 一人会社:不要
    • 株主全員の同意がある場合:不要
  • 利益相反取引の効力
    • 承認を得ていた場合:有効
    • 承認を得ていなかった場合:無効だが、間接取引の相手方転得者といった第三者に対しては、その悪意を立証しなければ無効を主張することはできない
  • 無効の主張権者:株式会社のみ
  • 取締役の責任:
    • 任務懈怠責任:承認の有無に関わらない
    • 損害額の推定規定:会社の承認の有無に関わらずに、任務を怠ったものと推定する

取締役の報酬等

  • 前提:指名委員会等設置会社以外
  • 報酬等とは:職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益
  • 内容:定款に定めがないときは、株主総会の普通決議によって定める
  • 種類:確定報酬、不確定報酬、非金銭報酬
  • 趣旨:お手盛り防止
  • 使用人としての給与:該当しない
  • 退職慰労金:該当する
  • 確定報酬の取締役への一任:総額または総額の上限を定めれば認められる
    • 代表取締役への再一人:できる
  • 退職慰労金の具体的金額等の決定を取締役会に一任:条件つきで許される
  • 不確定報酬、非金銭報酬:具体的な算定方法定款または株主総会で定め、相当とする理由を説明しなければならない
  • 報酬等の事後的な変更(減額・不支給)」取締役が同意しない限り、できない

取締役の報告義務

  • 株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、株主監査役設置会社では監査役監査役会設置会社では監査役会監査等委員会設置会社では監査等委員会)に報告しなければならない

内部統制システムの整備義務

  • 大会社監査等委員会設置会社指名委員会等設置会社
  • 事業報告に記載しなければならない

監査役

権限

  • 基本:取締役の職務の執行を監査
  • 範囲:適法性監査は当然、妥当性監査にまで及ばない(取締役会との違い)
  • 監査役の独任制
  • 監査報告の作成
  • 具体的権限(調査権、義務、違法行為差止請求権、会社代表権、各種の訴訟提起権、同意見、
  • 定款の定めによる監査範囲の限定(登記、監査役設置会社への該当、権限、株主の監督権限の強化)

株式会社と監査役の関係

  • 取締役との共通点:善管注意義務
  • 取締役との相違点:競業避止義務、利益相反取引の制限、忠実義務

監査役の報酬等

  • 報酬等の決定方法:株主総会の普通決議
  • 意見陳述:できる
  • 趣旨:独立性の確保
    • 取締役の趣旨との相違

費用等の請求

  • 職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、当該請求を拒むことができない
  • 趣旨:監査役の独立性の確保

監査役会

総論

  • 趣旨:監査の重複等を避けた組織的かつ効率的な監査を可能とする
  • 構成:3人以上、半数以上が社外監査役、常勤監査役を選定する必要あり
  • 独任制:失われない

権限

  • 監査報告の作成:付記
  • 常勤の監査役の選定および解職
  • 監査の方針等の決定:監査役の権限の行使を妨げることはできない

招集

  • 招集権者:各監査役
  • 招集手続:1週間前、方法は特に定めなし、全員の同意で省略可

決議

  • 定足数:なし
  • 過半数を持って行う(頭数多数決)
  • 決議の省略の制度なし
  • 議事録:署名義務あり、賛成の推定
  • 備置:10年間、本店
  • 閲覧、謄写:裁判所の許可を得て

会計参与

総論

  • 取締役と同様:任期、選任および解任
  • 監査役と同様:各種の意見陳述権、報酬等の規則、費用等の請求規制

権限

  • 計算書類等の共同作成権限
  • 会計参与報告の作成義務

株式会社と会計参与の関係

  • 監査役と同様

会計参与の報酬等

  • 監査役と同様

費用等の請求

  • 監査役と同様

会計監査人

総論

  • 趣旨:会社の計算書類等の適正性を確保

権限

  • 会計監査報告の作成義務
  • 具体的権限(調査権、意見陳述、報告、株主総会への出席)

監査役と会計監査人の権限関係

  • 会計監査権限の重複
  • 重複を避けるための構造:会計監査人が会計監査を行い、監査役は会計監査人の監査を前提とする

株式会社と会計監査人の関係

  • 監査役および会計参与と同様

会計監査人の報酬等

  • 業務執行に関する事項(取締役会等によって決定)
  • 同意を得なければならない
  • 趣旨:会計監査人の独立性を確保

今日やったこと

  • 企業法の取締役の報酬、監査役、監査役会、会計参与、会計監査人
  • 企業法の問題集

明日やること

  • 企業法の続き
  • 企業法の問題集
  • 財務会計論(理論)の問題集
  • 財務会計論(計算)の問題集