目次
- 1. 租税法総論
- 2. 法人税法総論
- 3. 租税公課(基礎)
- 4. 税効果会計
- 5. 減価償却(基礎)
- 6. 完全支配関係法人間の取引に係る損益調整
- 7. 給与
- 8. 受取配当等
- 9. 所得税額控除
- 10. 外国子会社からの配当等
- 11. 外国税額控除(基礎)
- 12. 貸倒損失
- 13. 評価損益
- 14. 減価償却応用
- 15. 給与(応用)
- 16. 交際費等
- 17. 租税公課(応用)
- 18. 寄附金
- 19. みなし配当
- 20. リース取引
- 21. 繰延資産
- 22. 有価証券等
- 23. 棚卸資産等
- 24. 外貨建取引
- 25. 欠損金等の繰越控除
- 26. 組織再編税制
- 27. 圧縮記帳
- 28. 特別償却
- 29. 使途秘匿金
- 30. 中小法人等
- 31. 収益認識
- 32. まとめ
1. 租税法総論
1.1. 租税の目的
- 公共サービスの提供
- 所得の再分配
- 景気調整
1.2. 分類
- 納税主体
- 法人税:法人
- 所得税:個人
- 消費税:法人、個人事業主
- 分類
- 徴収する者:国税、地方税
- 納める方法:申告納税方式、賦課課税方式
1.3. 基本原則
- 公平・中立・簡素
- 租税負担公平の公準(水平的公平)、納税負担能力の公準(垂直的公平)
- 基本原則:
- 租税法律主義の原則
- 租税公平主義の原則
- 自主財政主義の原則
1.4. 計算問題の解き方
- 端数:指示がなければ計算の都度切り捨てる
- 有利選択:納税者にとって有利となる方法を選択する
2. 法人税法総論
2.1. 法人税額の計算
- 法人税額=課税標準(所得の金額)×税率
- 税率
- 中小法人以外:23.2%
- 中小法人:800万円以下→15%、800万円超→23.2%
- 中小法人とは:資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下
- 課税標準(所得の金額)=益金の額ー損金の額
- 益金の額:時価
- 損金の額:総額主義、債務確定主義
- 損金経理:会計上費用として処理された金額
- 企業利益と課税標準
- 益金不算入:減算調整
- 益金参入:加算調整
- 損金不算入:加算調整
- 損金算入:減算調整
2.2. 別表四
- 所得金額(課税標準)を計算する用紙のこと
2.3. 別表一
- 別表四を元に法人税額を計算する用紙のこと
- 注意1:所得金額は千円未満切捨
- 注意2:法人税額は百円未満切捨
2.4. 申告納付
- 確定申告書の提出期限
- 原則:2月以内
- 例外:4月延長可能(会計監査人を置いている場合等)
- 中間申告書の提出期限:2月以内
3. 租税公課(基礎)
3.1. 損金不算入とされる租税公課
- 法人税等及び住民税の本税
- 国税の附帯税及び地方税の附帯金等
- 罰金等
- 隠蔽仮装行為等に係る費用等
- 賄賂等
3.2. 損金参入される租税公課
- 申告納税方式:事業税、事業所税→納税報告書を提出したときに参入
- 事業所税の特例:製造原価に含まれる事業所税は、損金経理した事業年度の損金となる
3.3. 納税充当金
- 基本:法人税・住民税は算入されず、事業税は申告を行った事業年度に参入される
- 過大引当:益金不算入とする
- 引当不足:中間申告分の法人税及び地方法人税、住民税、事業税を損金経理した場合と同じ
- 納税充当金を取り崩して附帯税を支払った場合:一旦すべて納税充当金支出事業税等として損金処理し、損金不算入のものはその後加算する
3.4. 還付金
- 原則:益金の額に算入
- 還付加算金も益金算入(実質的に利子だから)
- 納付時に損金不算入となった場合:還付時は益金不算入となる
- 還付金に対して未収還付法人税等を計上する場合:還付を受けた年に益金算入される
4. 税効果会計
4.1. 法人税等調整額
- 会計上:損益となる
- 税法上:益金にも損金にもならない
- 結論
- 会計上費用計上している場合:加算
- 会計上収益計上している場合:減算
5. 減価償却(基礎)
5.1. 基本
- 償却超過額が生じた場合:加算
- 償却不足額が生じた場合
- 繰越償却超過額がない場合:調整なし
- 繰越償却超過額がある場合:償却不足額と償却超過額のいずれか少ない金額を減算
5.2. 償却限度額
- 平成19年3月31日以前(旧定額法):取得価額×0.9×償却率
- 平成19年3月31日以前(旧定率法):税務上の期首帳簿価額×償却率
- 平成19年4月1日以前(新定額法):取得価額×償却率
- 平成19年4月1日以前(新定率法):税務上の期首帳簿価額×償却率
- 償却保証額等:通常の定率法償却限度額が償却保証額より小さくなった場合、改定償却限度額を使用
- 税務上の期首帳簿価額=会計上の期首帳簿価額+繰越償却超過額
5.3. 繰越償却超過額がある資産の譲渡・除却
- 繰越償却超過額の全額を減算
5.4. 減価償却の方法
- 建物
- 平成10年以前:旧定率法
- 平成10年~平成19年:旧定額法
- 平成19年以降:定額法
- 建物付属設備・構築物
- 平成19年以前:旧定率法
- 平成19年~平成24年:250%定率法
- 平成24年~平成29年:200%定率法
- 平成29年以降:定額法
- その他
- 平成19年以前:旧定率法
- 平成19年~平成24年:250%定率法
- 平成24年以降:200%定率法
- 無形減価償却資産
- 平成19年以前:旧定額法(残存価額ゼロ)
- 平成19年以降:定額法
5.5. 固定資産の取得価額
- 含めるもの
- 付随費用(カイヒニホカン)
- 事業の用に供するために直接要した費用(立退料、取壊費用、除却損失、起工式、住民対策費、公害補償費)
- 建設仮勘定に含めた借入金の利子
- 含めないことができるもの
- 借入金の利子
- 租税公課等
- 落成式
- 付随費用を損金経理した場合の取り扱い:
- 1.損金経理した付随費用を「取得価額」に含めて計算
- 2.損金経理した付随費用を「償却費として損金経理した金額」に含めて計算
5.6. 耐用年数
- 中古資産の場合
- 見積ができる→見積年数
- 見積ができない→改良費基準
- 改良費基準(改良費の支出がない場合)
- 法定耐用年数の全てを経過したもの:耐用年数=法定耐用年数✖20パーセント
- 法定耐用年数の一部を経過したもの:耐用年数=(法定耐用年数ー経過年数)+経過年数✖20パーセント
- 注意①:1年未満の端数は切り捨て
- 注意②:見積耐用年数が2年未満の場合は2年とする
5.7. 少額減価償却資産
- 条件:以下のどちらか
- 1単位の取得価額が10万円未満
- 使用可能期間が1年未満
- 処理方法:全額を損金の額に算入
5.8. 一括償却資産
- 条件:1単位の取得価額が20万円未満。(できる規定なので、通常の減価償却の方が有利な場合はしなくてよい)
- 処理方法:3年定額法で償却(月割計算なし、全ての資産をまとめて償却、譲渡・除却をしても一括償却を続ける)
5.9. グルーピング
- 条件:以下のすべてが同じ
- 種類の区分(構造、用途、細目)
- 耐用年数
- 償却方法
- 処理方法
- 1.個別に限度額を計算
- 2.償却額の合計額と限度額の合計額を比較
- グルーピングをする理由:グルーピングをしなかった時に切り捨てとなった額を損金として算入できる場合がある。
5.10. 資本的支出
- 資本的支出の例示:避難階段の取り付け、用途変更、通常の取替費用の額を超える部分
- 修繕費の例示:塗替え、取替え
- 20万円未満の場合又は3年以内の周期のものは修繕費として損金処理可能
- 処理方法:
- 1.資本的支出部分を既存の資産と別個に計算
- 2.グルーピングできる場合はグルーピング
- 3.非減価償却資産に係る損金処理された資本的支出は、取得価額計上もれとして加算調整
5.11. 減価償却の論点まとめ
- 事業共用日を確認
- 月割計算の有無
- 償却の方法を判定
- 新定率法の場合:償却補償額を計算
- 問題で与えられた帳簿価額が期首か期末か確認
- 繰越償却超過額の確認
- 中古の資産の耐用年数の計算
- 少額減価償却資産の判定
- 一括償却の対象かどうか判定
- グルーピングができるか判定
- 資本的支出として計上されているか判定
6. 完全支配関係法人間の取引に係る損益調整
6.1. 対象
- 完全支配関係(100%)法人(直接、間接含む)
- 一の者:一つの法人又は一人の個人(株主等の親族含む)
6.2. 解く手順
- 資産の種類の確認(棚卸資産は含めず)
- 内国法人であるか確認
- 帳簿価額が1000万円以上であるか確認
- 償却・譲渡時の処理が、原則法か簡便法か
7. 給与
7.1. 従業員の区分
- 役員:法定役員、みなし役員
- 注意:会計上使用人兼務役員であっても、法人税上役員となることがある
- 使用人兼務役員
- 使用人
7.2. 給与とは
- 法人税法上の給与:経済的利益の供与
7.3. 役員給与の種類
- 定期同額給与:損金算入
- 事前確定届出給与:損金算入
- 業務連動給与で一定の条件を満たす:損金算入
- 退職給与:損金参入
- それ以外:損金不算入
7.4. 定期同額給与の解き方
- 変動の有無の確認
- いつ変動したか(3月以内)
- どうして変動したか(やむを得ない事情であったか)
- その他:低利貸付、家賃補助、渡切交際費、手取りが同額の場合も損金算入
7.5. 事前確定届出給与の解き方
- 先に払ったものが届出通りか確認
- 後に払ったものが届出通りか確認
- 注意:会計上の使用人兼務役員が税法上役員である場合、非同族会社の非常勤役員である場合
7.6. 使用人兼務役員の使用人分給与
- 通常損金参入
7.7. 使用人給与
- 原則:損金参入
- 例外:役員の親族は不相当に高額な部分は損金不参入
8. 受取配当等
8.1. 解き方
- 保有割合確認
- 保有期間確認
- 控除負債利子額の有無を確認
- 完全子法人株式等、関連法人株式等、その他の株式等、被支配目的株式等に分類して計算
8.2. 対象範囲
- 益金不算入の対象:確定配当金、中間配当金、協同組合等の出資分量配当金、特定株式投資信託に係る収益分配金、名義株の配当金、みなし配当金、自己株式
- 対象外:外国法人からの配当金、基金利息、協同組合等の事業分量配当金、特定目的会社(SPC)からの配当金、証券投資信託に係る収益分配金(特定株式投資信託をのぞく)、名義書換失念株の配当金、短期所有株式等に係る配当、公社債及び預貯金の利子
8.3. 短期所有株式
- 条件:
- 1.計算期間の末日以前1か月以内に取得
- 2.計算期間の末日以降2か月以内に譲渡
- 趣旨:租税回避行為を防止
8.4. 控除負債利子額
- 原則法と簡便法の有利選択
- 原則法
- 注意:分数式に端数処理はしない
- 総資産の帳簿価額の調整(計上方法による):減価償却累計額、圧縮記帳積立金、特別償却準備金、貸倒引当金
- 簡便法:平成27年4月1日から平成29年3月31日の額で計算
- 注意:分数式の小数点第3位未満切捨て
9. 所得税額控除
9.1. 分類
- 株式・出資:確定配当、中間配当、基金利息、剰余金の分配→按分計算
- 受益権:特定株式投資信託の収益の分配、そのほかの投資信託の分配→按分計算
- その他:預金利子、社債利子、公社債投資信託の収益の分配、公募公社債等運用投資信託の収益の分配、みなし配当→全額
9.2. 解き方
- 区分ごとに分類する(株式・出資、受益権、その他)
- 判定の簡略化ができるか確認
- 控除額を個別に算定
- 区分ごとに原則法(月割計算で小数点未満切上)と簡便法を有利選択
- 所得税額控除の合計額を算定
10. 外国子会社からの配当等
10.1. 手順
- 外国子会社に該当するか(25%以上かつ6か月以上)
- 損益参入配当金でないこと
- 受取配当金×95%を減算調整
- 外国源泉税を全額加算調整
11. 外国税額控除(基礎)
11.1. 対象
- 外国子会社であって、損益参入配当金であること
- 外国子会社ではないこと
- 外国支店
11.2. 手順
- 別表四で源泉徴収税額を全額加算
- 別表一で源泉徴収税額を限度額まで控除
- 注意点:繰越しに注意(繰越控除限度額、繰越控除対象外国法人税額)
12. 貸倒損失
12.1. 貸倒損失の計上が認められるパターン
- 法的な債権の消滅:損金経理にかかわらず算入
- 全額回収不能の場合:全額損金経理した場合のみ
- 売上債権との特例:損金経理した場合のみ、貸付金に係る貸倒損失は損金算入不可
- 注意:この場合、備忘価額の1円を残す!
13. 評価損益
13.1. 考え方
- 原則:損金の額に算入しない
- 減価償却と処理方法は同じ
- 過年度から繰り越されている否認額がある場合が存在する(減価償却でいう繰越償却超過額)
- 評価損が認められる場合でも、簿価切り下げは時価までしか認められない
13.2. 評価損が認められる場合
- 棚卸資産:災害により著しく損傷、著しく陳腐化(季節商品、同用途の新製品の発売)、物理的変化
- 有価証券:上場有価証券の価額が著しく低下、上場会社以外の有価証券の発行法人の資産状態が著しく悪化
- 固定資産:災害により著しく損傷、1年以上にわたって遊休状態、本来の用途に使用できない、所在する場所の状況が著しく変化
14. 減価償却応用
14.1. 高価買入
- 考え方:時価と現金支出額の差額は、寄付金として処理
- 時価と現金支出額の差額を一旦減算
- 支出寄付金の額に含めた金額の損金性を検討
- 時価を取得価額として、償却限度額を計算
14.2. 低廉取得
-
考え方:時価と現金支出額の差額は、受贈益として処理
-
被減価償却資産の場合
- 時価と現金支出額の差額を加算
-
減価償却資産の場合
- 時価を取得価額として償却限度額を計算
- 受贈益と同額の減価償却費を損金経理額に含めて計算
14.3. 償却可能限度額
- 対象:旧定額法・旧定率法(平成19年以前)
- 取得原価の5%を下回る年度は、5%でストップ
- 翌年度以降、(取得価額の5%ー1円)÷5で償却
- 堅牢建物の場合償却年限は、5年ではなく、所与
14.4. 中古資産の耐用年数の特定(見積が不可能な場合)
- 改良費≦中古資産の取得価額×50%の場合:簡便法(×20%のやつ)
- 改良費≧再取得価額×50%の場合:法定耐用年数
- それ以外の場合**:取得価額に該当する部分は簡便法、改良費に該当する部分は法定耐用年数で平均減価償却費を計算し、その平均減価償却費をもとに耐用年数を算定**
- 損金経理した改良費:付随費用と同じ扱い
15. 給与(応用)
15.1. 実質基準
- 対象:税務上の役員
- 個別に判定
- 注意:使用人兼務役員は、使用人給与分も含める
15.2. 形式基準
- 対象:法定役員
- 対象役員全員の総額で判定
- 注意:使用人兼務役員に対する使用人分を含めないで給与限度額を定めている法人については、適正使用人分給与額をのぞく
15.3. ストック・オプション
- 費用計上時:損金不算入(加算調整)
- 権利行使時
- 税制非適格ストックオプション:損金算入(減算調整)
- 税制適格ストックオプション:調整なし
- 新株予約権戻入益:益金不算入(減算調整)
15.4. 特定譲渡制限株式
- 事前確定届出給与に該当
- ストックオプションと同じ
15.5. 保険
- 定期保険:必ず損金算入(役員・特定の使用人を対象とする場合は給与として取り扱う)
- 養老保険:
- 死亡保険金も満期保険金も当社に支払い:資産計上
- 死亡保険金も満期保険金も従業員に支払い:給与
- 死亡保険金は遺族、満期保険金は当社:半分資産計上、半分損金算入(すべての従業員対象の場合は保険金、役員又は特定の使用人対象の場合は給与)
16. 交際費等
16.1. 出題パターン
- 交際費を積み上げ計算する問題
- 損金経理した交際費を、税法上調整する問題
16.2. 解き方
- 資本金が1億円超100億円以下かどうか確かめる(該当する場合は接待飲食費の半分を損金算入可能)
- 1億円以下:損金算入額は、接待飲食費の半分と800万円の有利選択
- 100億円超:全額損金不算入
- 交際費かどうか確かめる
- 交際費である場合、接待飲食費かどうか確かめる
- 交際費に係る損金不算入額=交際費-(接待飲食費×50%)
- 注意:損金算入された交際費等に係る控除対象外消費税額等も支出交際費等の金額になる
16.3. 接待飲食費の判定方法
- 飲食費が社内か社外か
- 社内→金額にかかわらず問答無用で交際費、そして接待飲食費ではない
- 社外→次のステップへ
- 5000円超か5000円以下か
- 5000円超→交際費であり、接待飲食費である
- 5000円以下→そもそも交際費にならず、ゆえに接待飲食費でもない
16.4. 交際費の計上時期
- 会計上の処理にかかわらず、常に発生主義
16.5. ゴルフ会員権
- 入会金:資産計上(法人会員の場合)
- 個人の会員の場合は、従業員だと給与、役員の場合は事前確定届出給与か判定
- 年会費、プレー代金、ロッカー代:交際費
17. 租税公課(応用)
17.1. 控除対象外消費税額等の解き方
- 課税売上割合が
- 80%以上→必ず損金算入
- 80%未満→ステップ2へ
- 消費税の課税対象が
- 経費に係るもの→必ず損金算入
- 棚卸資産に係るもの→必ず損金算入
- 棚卸資産以外の資産に係るもの→ステップ3へ
- 控除対象外消費税額が
- 20万円未満→必ず損金算入
- 20万円以上→ステップ4へ
- 当期が取得事業年度
- である→10分の1を損金算入、10分の9を損金不算入(加算調整)
- でない→5分の1を損金算入(減算調整)
17.2. 修正申告
- 当期に影響のある修正申告:会計上の資産・負債と税務上の資産・負債の金額に相違が生じる場合
- 例:売上計上時期のずれ
- 当期に影響のない修正申告:会計上の資産・負債と税務上の資産・負債の金額に相違が生じる場合
- 例:交際費に該当するかどうか
18. 寄附金
18.1. 寄附金に関する典型的な問題の解き方
- 時期ズレの修正:寄付金の認識は現金主義(交際費等は発生主義)なので、会計上の処理とずれることがある
- 仕訳の修正(時価より低い価額で資産を譲渡した場合、会計上で寄附金は計上されないが、税法上では寄付金が計上される)
- 完全支配関係法人に対する寄附金・受贈益の確認:この場合、完全支配関係法人間の損益調整も考慮する必要あり
- 限度額の計算(テンプレートを使う)
- 注意:寄附金の損金算入限度額に関しては、計算に時間がかかるので、本試験で出たときは後回しにした方が賢明
18.2. 寄附金の分類
- 指定寄附金等:国等に対する寄附金、指定寄付金
- 特定公益増進法人投に対する寄附金:日本学生支援機構、日本赤十字社など
- 一般寄附金:政党、宗教法人、日本商工会議所など
18.3. 寄附金の損金算入限度額の算定方法
- 指定寄附金等:全額損金算入
- 特定寄附金:覚え方は「ミナコとムツコ2人」
- 期末資本金等×3.75/1,000
- (別表四仮計+支出寄付金)×6.25/100
- (1+2)÷2=特別限度額
- 通常の損金算入限度額:覚え方は「ニコニコ4文字」
- 期末資本金等×2.5/1,000
- (別表四仮計+支出寄付金)×2.5/100
- (1+2)÷4=通常限度額
18.4. 寄附修正
- 対象:完全支配関係法人
- 処理:受贈益・寄附金の額、子法人の株式を加減算する
- 寄付修正が必要な理由:租税回避行為の防止
19. みなし配当
19.1. みなし配当の出題パターン
- 資本の払い戻し
- 解散による残余財産の分配
- 自己株式の取得(市場買入を除く)
19.2. みなし配当の問題の解き方
- 完全支配関係法人に該当するか確認
- テンプレートを使って受取配当金に該当する額を算定
- 仕訳の調整を行う
- 受取配当金の益金不算入額を算定
- 所得税額控除を埋める
20. リース取引
20.1. オペレーティング・リース取引
- 税務上、リース取引に該当しないので、支払い時に損金算入
20.2. ファイナンス・リース取引
- 移転外ファイナンス・リース取引以外:償却率を使用して、普通の固定資産のDep計算を行う
- 移転外ファイナンス・リース取引:月割で償却(償却率は使用しない)
20.3. セール・アンド・リースバック取引
- 考え方:ただの借入とみなし、資産は継続して所有しているものと考える
- リース料のうち元本部分:Dep扱い
- リース料のうち利息相当額部分:調整なし
- 償却限度額の算定:資産を継続して所有するものとした場合の償却限度額
21. 繰延資産
21.1. 考え方
- 税務上の繰延資産の範囲は、会計上の繰延資産の範囲より広い
- 原則的処理:支出した額を、支出の効果の及ぶ期間にわたって月割計算で償却
21.2. ひっかけポイント
- 会計上の繰延資産(株式交付費、社債発行費、創立費、開業費、開発費):必ず調整不要
- 支出時点で建設を着手していないとき:着手した時から開始
- 少額繰延資産:20万円未満のとき、損金の額に算入される
- 簡易な施設の負担金:一括損金算入できる
22. 有価証券等
22.1. 論点
- 取得価額:
- 購入・有利発行以外の払込み・有利発行の株主割当:金額+付随費用
- 有利発行の第三者割当て:時価
- 譲渡損益:
- 法定:移動平均法
- 届出をすれば、総平均法も可能
- 期末評価
- 売買目的有価証券:時価(洗替)
- 償還有価証券:償却原価法→原則と特例の有利選択
- その他:原価法
- 社債(発行者側):特例処理なし!
23. 棚卸資産等
- 期末評価方法
- 法定:最終仕入原価法
- 届出を行った場合:個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法
- 短期売買商品:売買目的有価証券と同様に扱う
- 暗号資産
- 活発な市場が存在する場合:時価法
- 活発な市場が存在しない場合:原価法
- 譲渡原価:移動平均法による原価法
24. 外貨建取引
24.1. 期末換算
- 選択不可能なもの
- 売買目的有価証券→期末時換算法
- 売買目的有価証券以外の有価証券で、償還期限・金額がないもの→発生時換算法
- 外国通貨→期末時換算法
- 選択可能なもの(届出を行った場合、発生時換算法・期末時換算法どちらも可能。ただ、届出を行わなかったときの法定は以下で決まっている)
- 短期外貨建債券・債務→期末時換算法
- 長期外貨建債権・債務→発生時換算法
- 償還期限・金額の定めがある有価証券→発生時換算法
- 短期外貨預金→期末時換算法
- 長期外貨預金→発生時換算法
- 長短分類:決済日が期末日から1年以内か1年超か
- 前渡金・前受金は、換算対象外
- 洗替方式
24.2. 為替予約(振当処理)
- 基本:会計上と同じ
- 短期外貨建資産等の場合:一気に損金・益金処理可能。有利選択する
- 為替差益の場合:決済日まで繰延処理
- 為替差損の場合:一括損金算入
25. 欠損金等の繰越控除
25.1. 適用要件
- 10年以内に生じた欠損金額であること
- 欠損事業年度に青色申告書を提出していること
25.2. 損金算入額の変遷
- 平成24年4月より前:100%
- 平成24年4月から平成27年3月:80%
- 平成27年4月から平成28年3月:65%
- 平成28年4月から平成29年3月:60%
- 平成29年4月から平成30年3月:55%
- 平成30年4月から:50%
26. 組織再編税制
26.1. 考え方
- 原則(非適格組織再編成):資産及び負債を時価で移転したものとして、移転元の企業は譲渡損益を、移転先の企業は資産調整勘定を計上
- 例外(適格組織再編成):譲渡損益、資産調整勘定を共に計上したくないので、適正な帳簿価格で移転する
26.2. パターン
- 合併
- 非適格合併:被合併法人は譲渡損益を認識、合併法人は資産調整勘定(5年で償却)を計上
- 適格合併:被合併法人はB/Sの逆仕訳、合併法人は帳簿価額での受入れと抱合せ株式の消去
- 分割型分割→人的分割(対価は株主に)
- 非適格分割型分割:分割法人は譲渡損益を認識し、分割移転割合分の資本相当額を消去。分割承継法人は資産調整勘定を計上
- 適格分割型分割:分割法人は帳簿価額で資産負債を引き渡し、分割移転割合分の資本相当額を消去。分割承継法人は分割法人の逆仕訳
- 分社型分割→物的分割(対価は会社内に残る)
- 非適格新設型分割:分割法人は譲渡損益を認識し、対価として受け取った資産は会社に残る。分割承継法人は資産調整勘定を計上。
- 適格新設型分割:分割法人は、移転事業の株主資本相当額を対価として株式を計上。分割承継法人は、受け取った資産と負債の適正な帳簿価額の差額を「資本金等の額」として計上
26.3. その他の組織再編
- 現物出資:分社型再編と同様の扱い
- 現物分配:金銭以外の資産の交付をすること
- 株式分配:完全子法人の当該発行株式の全部を自社株主に移転すること
- 株式分配のうち、完全支配関係がある者に対して株式分配を行った場合、適格現物分配となる
27. 圧縮記帳
- 直接減額方式の場合:圧縮超過額は減価償却とみなして、税法上の取得価額をもとに償却限度額を計算
- 積立金方式の場合:圧縮積立額を減算調整、圧縮積立額のうち圧縮超過額を加算調整、税法上の取得価額をもとに償却限度額を計算
- 税効果による繰延税金負債も加える
28. 特別償却
- 償却限度額=普通償却限度額+特別償却限度額
- 圧縮記帳の積立金方式の場合とほとんど同じ:特別償却準備金の減算調整、特別償却準備金積立超過額の加算調整、税法上の積立限度額(取得価額がベース)を計算
- 税効果による繰延税金負債も加える
29. 使途秘匿金
- 全額損金不算入(加算調整)
- 別表一で使途秘匿金(千円未満切捨て)の40パーセントを加算
30. 中小法人等
30.1. 定義
- 資本金又は出資金が1億円以下
- 資本金5億円以上である法人による完全支配関係がある法人はのぞく
30.2. 中小法人独特の論点
- 軽減税率:年800万円以下の所得は法人税率15%
- 交際費課税の特例
- 損金算入の交際費が「接待飲食費の半分」と「800万円」の有利選択
- 欠損金等の控除の対象:所得金額の100%
- 少額減価償却資産の特例:年間300万円まで、取得価額30万円未満の減価償却資産は一括損金算入可能。
- 注意:単位ごとに適用(例:1.5個分適用などは不可)
31. 収益認識
- 割賦販売の現金主義会計:不可
- 貸倒引当金繰入の損金算入:不可
32. まとめ
32.1. 分数のまま計算するシリーズ
- 期中取得の減価償却費の月割り計算
- 一括償却資産の損金算入限度額:3年
- 完全支配関係法人間の取引で、他の内国法人が償却・譲渡した場合の譲渡損益の一部実現
- 短期所有株式等の数の計算
- 受取配当金の益金不算入に係る控除負債利子の算定(原則法)
- 旧率法・旧額法の減価償却資産において、取得価額5%になってからの各年の償却限度額:(帳簿価額-1円)÷5年
- 改良費が中途半端な場合の中古資産の平均減価償却費の計算の算定
- 所有権移転外リース取引における付随費用の損金算入額の算定
- 繰延資産の償却限度額の計算
- 償却有価証券の調整差損益(償却原価法のこと、有利選択のいずれも)
- (自社発行の)社債の償却原価法(原則法のみ)
32.2. 未満切捨シリーズ
- 課税所得(千円未満切捨)
- 法人税額(百円未満切捨)
- 受取配当金の益金不算入に係る控除負債利子の算定(簡便法、小数点第3位未満切捨)
- 使用期間に基づく中古資産の耐用年数の算定×0.2(小数点未満切捨、2年未満の場合は2年)
- 改良費が中途半端な場合の中古資産の耐用年数(小数点未満切捨)
- 使途秘匿金に対する特別税額の計算(千円未満切捨)×40%
32.3. 未満切上シリーズ
- 所得税額控除の所有期間に応じた按分計算・原則法(小数点3位未満切上)
- 所得税額控除の所有期間に応じた按分計算・簡便法(小数点3位未満切上)
- 資本の払い戻しによるみなし配当における払戻割合の算定(小数点3位未満切上)
32.4. 以下・超シリーズ(資本金基準・所有基準に多い)
- 中小法人の判定基準:資本金の額1億円以下
- 資本的支出に該当するか判定するとき:3年以内の周期
- 定期同額給与の判定基準:3月以内の支給額の改定
- 受取配当金の益金不算入において、関連法人株式に該当するかの判定:1/3超
- 受取配当金の益金不算入において、非支配目的株式に該当するかの判定:5%以下
- 交際費の算定において、接待飲食費の全額が損金不算入になる企業:資本金の額が100億円超
32.5. 未満・以上シリーズ(お金に係る基準に多い)
- 少額減価償却資産の範囲:取得価額が10万円未満
- 一括償却資産の範囲:取得価額が10万円以上20万円未満
- 資本的支出の判定基準:取得価額が20万円未満
- 完全支配関係法人間の損益調整の対象資産:帳簿価額が1,000万円以上が対象
- 外国子会社の判定:25%以上の所有、6か月以上の継続保有
- 控除対象外消費税の益金不算入が適用される課税売上割合:80%未満
- 控除対象外消費税の益金不算入が適用される価額:20万円以上
- 繰延資産の適用対象外:20万円未満
- 中小法人の少額減価償却の特例:取得価額30万円未満